「自分は英語が苦手だから、子どもに英語を身につけてもらうのは難しいかもしれない」と感じる保護者もいるでしょう。
しかし、親が英語を流暢に話せなくても、家庭で子どもが英語に触れる機会をつくることはできます。
大切なのは、親がすべてを教えようとすることではありません。絵本や歌、会話の機会、英語教室などを組み合わせながら、子どもが継続して英語に触れられる環境を整えることです。
本記事では、英語が苦手な親でも取り入れやすい方法や、始める時期、教材の選び方、無理なく続けるコツを解説します。
親が英語できなくてもバイリンガル育児はできる?
親が英語を話せないからといって、子どもが複数の言語を学べないわけではありません。
子どもは家庭だけでなく、園や学校、地域、習い事など、さまざまな環境から言葉を学びます。
そのため、親自身の英語力だけでなく、子どもが英語を聞いたり使ったりする機会をどのようにつくるかがポイントになります。
バイリンガルの能力にはさまざまな形がある
バイリンガルとは、一般的には2つの言語を生活やコミュニケーションの中で使う人を指します。
ただし、2つの言語をまったく同じレベルで話したり、読んだり、書いたりできる必要があるわけではありません。
たとえば、家庭では日本語を使い、学校や仕事では英語を使う人もいます。英語は会話が得意でも、読み書きは日本語のほうが得意という場合もあります。
使う場面や経験によって、言語ごとの得意・不得意が異なることは珍しくありません。
そのため、子どもの英語教育でも「ネイティブと同じレベル」を最初から目標にする必要はありません。まずは英語を聞く、意味を理解する、簡単な言葉を使うなど、段階的に経験を増やしていくことが大切です。
親が英語を教えなくても英語に触れる環境はつくれる
子どもが英語を学ぶために、必ずしも親が英語を直接教える必要はありません。
英語の絵本や歌、音声教材、子ども向けのレッスンなどを活用すれば、家庭でも英語に触れる機会をつくれます。
また、親子で簡単な英語表現を調べたり、覚えた言葉を一緒に使ったりするのも一つの方法です。
重要なのは、教材を置いておくだけではなく、子どもが英語を聞いたり、意味を考えたり、実際に使ったりする機会を少しずつ増やすことです。
バイリンガル育児にはどのようなメリットがある?
複数の言語を学ぶことで、使える言葉やコミュニケーションの相手が増える可能性があります。
一方で、「バイリンガルになるだけで頭が良くなる」といった単純な効果が保証されているわけではありません。
メリットを過度に期待するのではなく、言葉を通じて経験や交流の幅を広げる取り組みとして考えることが大切です。
コミュニケーションできる相手が広がる
英語を使えるようになると、英語を話す人と直接コミュニケーションできる機会が増えます。
海外の人との交流だけでなく、英語の本や映像、学習教材などに触れやすくなることもメリットの一つです。
ただし、どの程度英語を使えるようになるかは、学習期間や使用頻度、本人の興味、学習環境などによって異なります。
将来の学習や進路の選択肢につながることがある
英語力があることで、将来的に海外の学校への進学や、英語を使う仕事などを検討しやすくなる場合があります。
ただし、進学や就職では英語力だけでなく、専門知識や学力、経験などさまざまな要素が関係します。
幼い時期の英語経験は、将来の選択肢を保証するものではありません。英語への抵抗感を減らしたり、継続して学ぶきっかけをつくったりするものとして考えるとよいでしょう。
異なる文化や考え方に触れる機会が増える
言語を学ぶ過程では、その言語が使われる地域の文化や生活に触れる機会もあります。
海外の絵本や歌、映像などを通して、日本とは異なる暮らしや習慣を知ることもできます。
ただし、英語を学ぶだけで自動的に異文化理解が深まるわけではありません。
「どうしてこんな習慣があるのだろう」と親子で話したり、さまざまな国や文化について知ったりする経験と組み合わせることが大切です。
親が英語できない場合、バイリンガル育児はいつから始める?
子どもの英語教育では、「何歳から始めればよいのか」と悩む保護者も多いでしょう。
幼い時期から英語に触れることにはメリットがありますが、「何歳までに始めなければならない」という明確な期限があるわけではありません。
幼少期はさまざまな言語の音に触れやすい時期
乳幼児期は、周囲で使われている言語の音やリズムを学んでいく時期です。
そのため、幼いころから英語の歌や会話などに触れることで、日本語とは異なる英語の音に親しむ機会を増やせます。
一方、早く始めれば必ず流暢な英語を身につけられるわけではありません。
英語力は、始めた年齢だけでなく、どの程度英語に触れているか、実際に使う機会があるか、本人が興味を持っているかなど、さまざまな要素の影響を受けます。
小学生以降から始めても英語は学べる
「幼児期を過ぎたら遅い」ということはありません。
小学生や中学生、大人になってからでも、新しい言語を身につけることは可能です。
年齢が上がると、文字や文法の理解、すでに身につけている日本語の知識などを活用して学習できる利点もあります。
開始時期だけにこだわらず、現在の年齢や興味に合った方法で続けることが大切です。
開始年齢だけでなく継続的な経験を意識する
英語は、一度触れただけで身につくものではありません。
聞く、話す、読む、遊ぶといった経験を継続的に重ねることが重要です。
ただし、「毎日何分やればよい」と一律に決める必要はありません。
短い時間でも生活の中に取り入れながら、子どもの年齢や興味に合わせて無理なく続けられる方法を探しましょう。
親が英語できない家庭でも取り入れやすいバイリンガル育児
英語が苦手な親でも、日常生活の中に英語に触れる機会をつくることはできます。
ここでは、家庭で始めやすい方法を紹介します。
決まった場面で簡単な英語を使ってみる
家庭の中で、簡単な英語を使う場面を決める方法があります。
たとえば、朝に「Good morning」、寝る前に「Good night」と声をかけるなど、短いフレーズから始められます。
親が発音や表現に自信がない場合は、音声付きの辞書や教材で確認しながら使えば問題ありません。
無理に英語だけで会話しようとせず、日本語で十分にコミュニケーションを取りながら、英語を生活に少し加えるイメージで進めると続けやすくなります。
英語の絵本や歌を日常に取り入れる
英語の絵本や歌は、家庭で取り入れやすい方法です。
繰り返し表現の多い絵本や、動作をまねしながら楽しめる歌などは、英語が初めての子どもにも使いやすいでしょう。
親が英語を読むことに自信がない場合は、読み聞かせ音声付きの教材を利用する方法もあります。
聞くだけでなく、絵を指さしたり、「これは何かな」と話したりすると、親子のやり取りにもつながります。
親子で一緒に英語を楽しむ
親が「先生」になる必要はありません。
英語の歌を一緒に歌う、簡単な単語ゲームをする、英語の絵本を見るなど、親子で楽しめる方法を選びましょう。
子どもが間違えたときも、細かく訂正することばかりに集中せず、まずは伝えようとしたことを受け止めることが大切です。
英語を「勉強しなければならないもの」にしすぎず、興味を持てる活動の一つとして取り入れていきましょう。
動画やアプリを英語学習に使うときのポイント
英語の動画やアプリは、親が英語を話せない家庭でも英語の音声に触れられる便利な方法です。
ただし、動画を長時間つけっぱなしにするだけで英語が身につくとは限りません。
年齢に合った内容を選ぶ
子ども向けコンテンツを選ぶときは、次のようなポイントを確認しましょう。
- 対象年齢が子どもに合っているか
- 音声が聞き取りやすいか
- 内容が複雑すぎないか
- 子どもが興味を持てる内容か
- 広告や不適切なコンテンツへの対策があるか
特に幼い子どもの場合は、動画を見せるだけにせず、可能であれば保護者も一緒に見て、内容について声をかけるとよいでしょう。
また、睡眠、外遊び、読書、食事、親子の会話などを圧迫しないよう、家庭の生活リズムに合わせて利用することも大切です。
音声だけで楽しめる教材も活用する
英語の歌や読み聞かせ音声など、画面を見なくても楽しめる教材もあります。
移動中や遊びの時間など、生活の中で無理なく取り入れられる方法を探してみましょう。
ただし、音声を流しているだけで十分というわけではありません。
一緒に歌ったり、聞こえた言葉をまねしたりするなど、子ども自身が参加できる方法を組み合わせることがポイントです。
英語教室やオンラインレッスンを使うときの選び方
家庭だけでは英語を話す相手をつくることが難しい場合、英語教室やオンラインレッスンを利用する方法があります。
サービスを選ぶときは、講師の国籍だけで判断せず、子どもとの相性や指導経験、レッスン内容などを確認しましょう。
英語教室を選ぶ際のポイント
- 子どもの年齢や英語経験に合ったカリキュラムか
- 子ども向けの指導経験がある講師がいるか
- 子どもが発話したり参加したりする時間があるか
- 体験レッスンなどで子どもの反応を確認できるか
- 通学や送迎を無理なく続けられるか
オンラインレッスンを選ぶ際のポイント
- 幼児や小学生への指導経験があるか
- 子どもの集中できる時間に合ったレッスン時間か
- 歌やゲームなど年齢に合った活動があるか
- 保護者が学習内容を確認できる仕組みがあるか
- 無理なく続けられる料金や受講頻度か
英語教室やオンラインレッスンだけでバイリンガルになることが保証されるわけではありません。
家庭で英語の絵本を読んだり、覚えた表現を使ったりしながら、学んだ内容に繰り返し触れる機会をつくるとよいでしょう。
親が英語できなくてもバイリンガル育児を長く続けるコツ
家庭での英語学習では、短期間で成果を求めすぎず、子どものペースに合わせることが重要です。
親が完璧な発音や文法を教えようとしない
英語が苦手な親ほど、「間違った英語を教えてしまったらどうしよう」と不安になることがあります。
その場合は、親だけで正解を教えようとせず、音声教材や辞書、講師などを活用しましょう。
わからない表現があれば親子で一緒に確認することもできます。
親の役割を「英語の先生」に限定せず、子どもが英語に触れやすい環境を整える役割として考えると、負担を減らしやすくなります。
子どものペースに合わせる
子どもの興味や集中できる時間には個人差があります。
最初から長時間取り組ませるのではなく、「英語の歌を1曲聞く」「絵本を数ページ読む」など、取り組みやすい内容から始めましょう。
子どもが嫌がっているときに無理に続けると、英語そのものに負担を感じる可能性があります。
興味が薄れているときは内容を変えたり、しばらく休んだりするなど、柔軟に調整することが大切です。
日本語でのコミュニケーションも大切にする
英語を増やすために、親が得意な日本語での会話を必要以上に減らす必要はありません。
保護者は、自分が自然に使える言語で子どもと十分に話し、読み聞かせや会話を行うことが大切です。
日常生活の中で豊かな言葉のやり取りを続けながら、英語に触れる時間を追加していくとよいでしょう。
英語が苦手な親でも一緒に学ぶことはできる
英語が苦手だからといって、家庭で英語に取り組めないわけではありません。
わからない言葉を子どもと一緒に調べたり、音声を聞いて一緒にまねしたりすることも、一つの学び方です。
間違いを気にしすぎない雰囲気をつくる
新しい言語を学ぶ過程では、発音や単語を間違えることがあります。
親もわからないことを調べたり、間違えたら言い直したりする姿を見せることで、「間違えても学び続ければよい」という雰囲気をつくりやすくなります。
子どもが英語を話したときも、正しさだけを評価するのではなく、まずは使ってみたことを受け止めるようにしましょう。
親子に合った方法を見つける
バイリンガル育児には、すべての家庭に共通する一つの正解があるわけではありません。
家庭で使う言語、子どもの年齢、園や学校の環境、英語に触れられる時間などによって、適した方法は変わります。
毎日英語を使える家庭もあれば、絵本や歌、週末のレッスンなどから始める家庭もあります。
他の家庭と比較しすぎず、自分たちが無理なく続けられる方法を探すことが重要です。
まとめ|親が英語できなくても英語に触れる環境はつくれる
親が英語を流暢に話せなくても、子どもが英語に触れる環境を家庭につくることはできます。
英語の絵本や歌を楽しむ、簡単な英語表現を生活に取り入れる、英語教室やオンラインレッスンを活用するなど、方法はさまざまです。
ただし、早く始めれば必ずバイリンガルになれるわけではありません。英語力の伸び方は、英語に触れる量や内容、使用する機会、子どもの興味などによって異なります。
また、親が得意な日本語で十分に会話することも大切です。日本語での親子のやり取りを大切にしながら、無理のない範囲で英語に触れる機会を増やしていきましょう。
短期間で成果を求めすぎず、子どもの興味やペースに合わせて続けられる環境をつくることが、家庭で英語に取り組むうえで大切なポイントです。
