幼児のイマージョン教育とは?英会話教室との違いと始め方を解説

英語教育

「イマージョン教育という言葉を聞いたことはあるけれど、英会話教室と何が違うのだろう」と疑問に思う保護者もいるのではないでしょうか。

イマージョン教育は、英語の単語や文法だけを学ぶのではなく、遊びや活動、生活の中で英語を使用する教育方法です。ただし、英語を使用する時間や日本語によるサポート、教育内容は施設によって異なります。

この記事では、幼児向けイマージョン教育の基本的な考え方、英会話教室との違い、施設を選ぶ際の確認事項、家庭での取り入れ方を解説します。

幼児向けイマージョン教育とは

イマージョン教育とは、第二言語を単独の教科として学ぶだけでなく、その言語を使って活動や学習を行う教育方法です。

幼児向けのプログラムでは、英語を使って歌を歌う、工作をする、絵本を読む、食事や身支度をするといった活動が取り入れられます。英語の意味を動作や場面と結びつけながら、実際に使う機会を増やす点が特徴です。

ただし、イマージョン教育を受ければ、すべての子どもが同じように英語を習得できるわけではありません。英語に触れる時間や内容、先生とのやり取り、通園期間、家庭環境などによって学び方は異なります。

イマージョンの意味と基本的な考え方

イマージョンを表す英語の「Immersion」には、「浸す」「浸る」といった意味があります。

言語教育では、学びたい言語に触れる時間を増やし、その言語を使って別の活動に取り組む方法を指します。例えば、英語で色や形について学んだり、先生の英語による声かけを聞きながら手洗いや片付けをしたりする方法です。

現在につながる代表的なイマージョン教育は、1965年にカナダのケベック州サン・ランベールで始まったフランス語教育プログラムとされています。英語を第一言語とする子どもが、フランス語を使って教科や活動を学ぶプログラムでした。

英語を学ぶだけでなく英語を使って活動する

一般的な英語レッスンでは、色、数字、あいさつなど、英語そのものを学習内容とすることがあります。

イマージョン型の活動では、英語を使って工作や運動、歌、遊びなどに取り組みます。英語を覚えることだけを目的にせず、何かを伝えたり活動したりするための言葉として使う点が特徴です。

例えば、先生が「Let’s wash our hands」と声をかけながら手洗いを促すことで、子どもは言葉の意味を動作や状況と結びつけて理解していきます。

部分イマージョンと完全イマージョン

イマージョン教育は、使用する言語の割合によって「部分イマージョン」「完全イマージョン」などと呼ばれることがあります。

種類 一般的な特徴
部分イマージョン 日本語による活動や説明も取り入れながら、一定の時間を英語で過ごす
完全イマージョン 園内の活動や教育の多くを英語で進める

ただし、名称や英語の使用割合について全国共通の基準があるわけではありません。「完全イマージョン」と案内されていても、必要に応じて日本語による支援を行う施設もあります。

施設を比較するときは名称だけで判断せず、英語が使われる時間、場面、日本語によるサポートの内容を確認することが大切です。

幼児期に英語環境へ触れる意味

幼児期は、周囲で使われる言葉の音やリズムを聞き取り、やり取りを通じて言葉を覚えていく時期です。幼いうちから継続的に英語へ触れることで、英語の音や表現に親しみやすくなる可能性があります。

一方で、英語を始める年齢だけで、その後の英語力が決まるわけではありません。接触する英語の量と質、継続期間、子どもの興味、先生や家族とのやり取りなども関係します。

言語習得と年齢の関係

言語習得には、年齢によって習得しやすさが変化する「敏感期」や「臨界期」という考え方があります。

特に発音や音の聞き分けについては、早い時期からその言語に触れることが役立つ可能性があります。ただし、幼児期を過ぎると英語を習得できなくなるわけではありません。成長後でも、継続的な学習と実際に使う経験によって英語力を伸ばすことは可能です。

そのため、「早く始めなければ間に合わない」と考えるのではなく、子どもが無理なく続けられる環境を整えることが重要です。

英語に触れる量だけでなくやり取りの質も大切

長時間英語を聞かせるだけで、必ず英語が身につくわけではありません。

先生が子どもの反応を見ながら声をかける、子どもが言葉や身振りで答える、遊びの中で同じ表現を繰り返すといった双方向のやり取りが大切です。

施設を選ぶときは、英語の使用時間だけでなく、先生と子どもの人数、子どもが発言できる機会、活動内容なども確認しましょう。

イマージョン教育で期待できること

イマージョン教育では、日常的な活動の中で英語を聞いたり使ったりする機会を増やせます。ただし、得られる経験や英語力の伸び方には個人差があります。

英語の音やリズムに親しみやすくなる

幼児期から英語の歌や会話に継続して触れることで、日本語とは異なる音やリズムに慣れやすくなる可能性があります。

ただし、ネイティブスピーカーと同じ発音が必ず身につくわけではありません。発音は、英語に触れる量、先生の話し方、子どもが実際に発話する機会などの影響も受けます。

英語を実際に使う経験を積める

イマージョン教育では、先生の話を理解する、必要なものを伝える、友達と一緒に活動するといった場面で英語を使います。

英語を暗記するだけでなく、相手に伝えるために使う経験を積めることが特徴です。子どもによっては、英語に対する抵抗感を持ちにくくなる場合もあります。

異なる文化や表現に触れる機会になる

施設によっては、海外の行事、絵本、歌、食文化などを活動に取り入れています。こうした経験は、日本とは異なる文化や暮らしに関心を持つきっかけになります。

ただし、異文化理解やコミュニケーション力が自動的に高まるわけではありません。先生が文化の違いをどのように伝え、子ども同士の関わりをどのように支えているかも重要です。

英会話教室とイマージョン教育の違い

英会話教室とイマージョン教育では、英語を使用する目的や時間、活動内容に違いがあります。

比較項目 一般的な英会話教室 イマージョン型プログラム
主な目的 英単語や会話表現を学ぶ 英語を使って生活や活動を行う
利用時間 週1回など決められたレッスン時間 半日や一日など比較的長い時間
活動内容 歌、ゲーム、会話練習など 遊び、工作、食事、身支度、学習活動など
日本語の使用 教室やコースによって異なる プログラムや子どもの状況によって異なる

ただし、英会話教室にも英語のみで活動するコースがあり、プリスクールでも日本語を多く使う場合があります。施設名ではなく、実際のプログラム内容を比較しましょう。

プリスクール・インターナショナルスクール・英語保育の違い

幼児が英語に触れられる施設には、プリスクール、インターナショナルスクール、英語保育などがあります。

ただし、これらの名称には全国で統一された定義がありません。同じ「プリスクール」という名称でも、週1回の英語教室に近い施設から、週5日英語で保育を行う施設まであります。

プリスクール

日本では一般的に、未就学児を対象として英語による遊びや保育を行う施設をプリスクールと呼ぶことがあります。

対象年齢、通園日数、英語の使用割合、日本語サポート、保育時間などは施設によって異なります。認可外保育施設として届出をしている施設もあれば、英語教室として運営されている施設もあります。

インターナショナルスクール

インターナショナルスクールは、一般的には英語など外国語を主な使用言語として教育を行う施設です。

ただし、法令上統一された施設区分ではありません。一条校、各種学校、認可外の教育施設など、法的位置づけは施設ごとに異なります。

幼児部のみを設けている施設、小学校以降も一貫したカリキュラムを提供する施設、国際バカロレアなど特定の教育課程を採用する施設などがあります。

英語保育

英語保育は、英語を保育に取り入れる方法を広く表す言葉です。

一日を通して英語を使う施設だけでなく、通常の日本語保育の中に週数回の英語活動を取り入れる施設もあります。そのため、「英語保育」という名称だけでイマージョン教育に該当するとは判断できません。

イマージョン教育を選ぶときの確認ポイント

施設選びでは、英語を使う時間の長さだけでなく、保育や教育の質、子どもへの対応、安全管理などを総合的に確認することが大切です。

英語を使う時間と場面

  • 一日のうち、英語を使う時間はどのくらいか
  • 遊びや食事、身支度でも英語を使うのか
  • 日本語を使う場面はあるか
  • 子どもが英語で発言する機会があるか

先生やスタッフの体制

  • 先生の経験や資格はどのようなものか
  • 英語を第一言語としない先生も含め、十分な英語運用力があるか
  • 日本語で相談できるスタッフがいるか
  • 先生一人あたりの子どもの人数は適切か

先生がネイティブスピーカーであることだけで、教育や保育の質が決まるわけではありません。幼児への関わり方や指導経験も確認しましょう。

教育・保育方針と日本語への配慮

  • 英語以外にどのような力を育てようとしているか
  • 子どもが英語を理解できないときにどう支援するか
  • 家庭での日本語についてどのような方針を持っているか
  • 子どもの性格や発達に合わせた対応があるか

施設の位置づけと安全管理

  • 幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設、英語教室など、どの区分で運営されているか
  • 必要な認可や届出を行っているか
  • 事故や災害への対応方法が決められているか
  • 体調不良やけががあった場合の連絡体制が整っているか

費用と契約条件

  • 月謝や保育料
  • 入園料や登録料
  • 教材費や施設費
  • 給食費やおやつ代
  • 送迎費や延長保育料
  • 休園、退園、振替に関する規定

料金は地域、通園日数、保育時間、施設の形態によって大きく異なります。月額料金だけでなく、年間に必要となる総額を確認しましょう。

日本語の発達と二言語環境について

英語と日本語の両方に触れること自体が、言語障害や言語発達の遅れを引き起こすわけではありません。

二つの言語を使う子どもは、それぞれの言語で知っている単語が分かれることがあります。また、一つの会話の中で日本語と英語を混ぜて使うこともあります。こうした言葉の使い方だけで、子どもが混乱しているとは判断できません。

家庭では、保護者が無理に英語だけを使おうとせず、最も自然に気持ちや考えを伝えられる言語で、十分に会話することが大切です。日本語による会話、読み聞かせ、日々の体験について話す時間も確保しましょう。

日本語と英語の両方で理解や発話に心配がある場合、以前使えていた言葉を使わなくなった場合、聞こえに不安がある場合などは、二言語環境だけが原因と判断せず、小児科、自治体の発達相談、言語聴覚士などへの相談を検討してください。

子どもに合った始め方

イマージョン教育の適応の仕方には個人差があります。新しい場所を楽しめる子どももいれば、先生や言葉に慣れるまで時間が必要な子どももいます。

最初から長時間の英語環境を選ぶ方法だけでなく、短時間のクラス、週数回の通園、体験プログラムなどから始める方法もあります。

見学や体験では、英語を話せているかだけでなく、次の点を確認しましょう。

  • 子どもが安心して過ごせているか
  • 先生が子どもの反応を丁寧に見ているか
  • 理解できないときに適切な支援があるか
  • 無理に発言や参加を求められていないか
  • 活動に興味を持っているか

泣いたり緊張したりすることだけで、施設が合わないとは限りません。慣れるまでの期間や園の対応についても確認しながら判断することが大切です。

家庭でできる英語環境の整え方

家庭では、英語を特別な勉強にするのではなく、遊びや親子のやり取りの中に少しずつ取り入れられます。

英語の絵本や歌を親子で楽しむ

英語の絵本は、音声を流すだけでなく、絵を指さしたり、子どもの反応を聞いたりしながら楽しむことが大切です。

保護者が英語を流暢に話せなくても問題ありません。音声付きの絵本を利用したり、短い歌を一緒に歌ったりする方法があります。

日常の場面で短い表現を使う

食事、片付け、入浴、就寝など、毎日繰り返す場面で短い英語を使う方法もあります。

  • Let’s eat.(食べよう)
  • Wash your hands.(手を洗おう)
  • Good night.(おやすみ)
  • Let’s clean up.(片付けよう)

正しく言わせることを目的にせず、子どもが身振りや日本語で反応した場合も受け止めながら続けましょう。

動画は年齢や視聴時間に配慮する

英語の動画は、音や表現に触れる方法の一つですが、動画を見せるだけで英語力が身につくとは限りません。

幼児が利用する場合は、年齢に合った内容を選び、長時間の視聴を避けることが大切です。可能であれば保護者も一緒に視聴し、登場した言葉や場面について話しかけると、双方向のやり取りにつなげられます。

施設と家庭の役割を分ける

施設では英語を使う経験を増やし、家庭では日本語を含めた豊かな会話を大切にするという考え方もあります。

園で使っている歌や絵本を家庭でも楽しむ場合は、先生に活動内容を確認すると取り入れやすくなります。ただし、家庭まで英語だけにする必要はありません。親子が自然に会話できる言語を大切にしましょう。

まとめ|内容を確認して子どもに合った英語環境を選ぼう

イマージョン教育は、英語を単独の教科として学ぶだけでなく、遊びや生活、活動のために英語を使う教育方法です。

英語に触れる機会を増やせる一方で、習得の仕方や得られる経験には個人差があります。幼児期に始めるだけで、英語力や発音、思考力などが自動的に伸びるわけではありません。

また、プリスクール、インターナショナルスクール、英語保育といった名称だけでは、実際の教育内容や英語の使用割合は判断できません。

施設を選ぶときは、英語を使う時間と場面、先生の体制、日本語による支援、保育・教育方針、施設の位置づけ、安全管理、費用などを確認しましょう。

見学や体験を通じて、子どもが安心して参加できるかを確認し、家庭の方針や生活スタイルに合った環境を選ぶことが大切です。

タイトルとURLをコピーしました