「プリスクールと保育園は何が違うの?」「共働きでもプリスクールに通わせられる?」「幼児教育・保育の無償化は使える?」と疑問を抱えている方もいるでしょう。
プリスクールは、英語を使った活動や独自の幼児教育を取り入れている施設の総称として使われています。一方、認可保育所は、保育を必要とする子どもを対象とした児童福祉施設です。
ただし、認可保育所でも養護と教育を一体的に行っており、両者を単純に「保育」と「教育」に分けることはできません。違いを判断するときは、制度上の位置づけ、利用条件、預かり時間、費用、カリキュラムなどを総合的に確認することが大切です。
本記事では、一般にプリスクールと呼ばれる施設と、主に認可保育所を比較し、幼児教育・保育の無償化の条件や共働き家庭が確認したいポイントを解説します。
プリスクールと保育園の基本的な違い
プリスクールは法律上統一された施設区分ではない
日本では、「プリスクール」という名称に統一された法的な定義や施設区分はありません。
一般的には、就学前の子どもを対象に、英語を使った活動や独自の幼児教育を行う施設を指します。ただし、実際の運営形態は施設によって異なります。
- 認可外保育施設として運営されている施設
- 幼稚園や認定こども園に併設されたクラス
- 一定時間だけ利用する民間の幼児教育教室
- 英語による保育を行う施設
同じ「プリスクール」という名称でも、子どもを長時間預かる保育施設とは限りません。入園を検討するときは、名称だけで判断せず、制度上の区分や自治体への届出状況を確認しましょう。
認可保育所は保育を必要とする子どものための児童福祉施設
認可保育所は、児童福祉法に基づいて設置される児童福祉施設です。保護者の就労、病気、介護、就学などにより、家庭での保育が難しい子どもを対象としています。
利用するには、自治体から保育の必要性について認定を受け、入所の申し込みを行う必要があります。希望者が多い地域では、家庭の状況などをもとに利用調整が行われます。
認可保育所は子どもの生命や生活を守るだけでなく、遊びや生活を通じて、健康、人との関わり、言葉、表現などを育む教育的な役割も担っています。
違いは「教育か保育か」だけでは判断できない
プリスクールと認可保育所の違いは、「プリスクールは教育、保育所は預かり」と単純に分けられるものではありません。
認可保育所でも、子どもの発達段階に合わせた教育が行われます。一方、プリスクールでも、認可外保育施設として長時間の保育を提供している場合があります。
主な違いは、次のような点です。
- 制度上の位置づけ
- 利用するための条件
- 申し込み先
- 預かり時間
- 費用の決まり方
- 使用する言語やカリキュラム
- 長期休業の有無
施設名やイメージだけでなく、実際の運営内容を確認することが重要です。
プリスクールと認可保育所の違いを項目別に比較
利用条件と申し込み方法
認可保育所を利用するには、保護者の就労など、自治体が定める「保育を必要とする事由」に該当する必要があります。申し込みは、原則として住んでいる市区町村を通じて行います。
プリスクールは、施設と保護者が直接契約する形が一般的です。保護者の就労状況を問わず申し込める施設もありますが、対象年齢、通園日数、親子面接、入園審査などの条件は施設によって異なります。
預かり時間と延長保育
認可保育所では、自治体による認定に応じて、保育標準時間または保育短時間の範囲で利用します。
保育標準時間は最大11時間、保育短時間は最大8時間ですが、好きな時刻から11時間または8時間利用できるという意味ではありません。各施設が定めた通常保育時間の中で、就労時間や通勤時間などに応じて必要な範囲を利用します。
通常保育時間を超えて利用する場合は、施設が延長保育を実施していれば、追加料金を支払って利用できることがあります。
プリスクールの預かり時間は施設によって大きく異なります。午前中や日中だけの施設もあれば、夕方までの保育や延長保育に対応している施設もあります。
共働き家庭では、次の点を確認しましょう。
- 通常の登園・降園時間
- 延長保育の終了時刻
- 延長保育の追加料金
- 残業や交通機関の遅延が発生した場合の対応
- 土曜日や休日の保育の有無
費用の決まり方
認可保育所の0〜2歳児クラスの保育料は、世帯の市区町村民税額、子どもの人数、自治体の制度などをもとに決まります。
3〜5歳児クラスの利用料は、幼児教育・保育の無償化の対象です。ただし、食材料費、通園送迎費、行事費、延長保育料などは、原則として保護者負担となります。
プリスクールの料金は施設が独自に設定しているため、金額には大きな差があります。月額利用料だけでなく、次の費用が別途必要になることもあります。
- 入園料
- 施設維持費
- 教材費
- 給食費
- 送迎バス代
- 制服や指定用品の費用
- 延長保育料
- 季節講習やイベントの費用
費用を比較するときは、月額利用料だけでなく、1年間に必要となる総額を確認することが大切です。
給食と食事への対応
認可保育所では、子どもの発育や健康状態に配慮した食事の提供が行われます。ただし、完全給食、主食のみ持参、外部からの搬入など、提供方法は施設によって異なります。
食物アレルギーへの対応についても、除去食や代替食に対応している施設もあれば、家庭からの持参が必要な場合もあります。
プリスクールも、毎日給食を提供する施設、お弁当を持参する施設、注文制のランチを採用する施設などさまざまです。
見学や説明会では、次の点を確認しましょう。
- 給食の有無
- 食事を用意する場所や方法
- お弁当が必要な日数
- 食物アレルギーへの対応方針
- おやつや飲み物の提供方法
夏休みなどの長期休業
認可保育所では、幼稚園のような夏休みや春休みを設けない施設が一般的です。ただし、年末年始や施設が定める休園日は利用できません。お盆期間の運営方法なども施設によって異なります。
プリスクールでは、教育機関に近い年間スケジュールを採用し、夏休み、冬休み、春休みを設けている場合があります。一方で、年間を通して長時間保育を行う施設もあります。
共働き家庭では、年間カレンダーを確認し、休業期間中に特別保育や季節プログラムがあるか、追加料金が必要かを確認しておきましょう。
プリスクールは幼児教育・保育の無償化の対象になるか
プリスクールが認可外保育施設等として無償化の対象になっている場合、一定の条件を満たすことで、利用料の一部が施設等利用費として給付されます。
ただし、プリスクールという名称だけで自動的に対象になるわけではありません。子どもと保護者の条件に加え、利用する施設が無償化の対象施設であることも必要です。
3〜5歳児クラスの対象条件
認可外保育施設等を利用する3〜5歳児クラスの子どもは、次の条件を満たす場合、月額3万7,000円までの利用料が無償化の対象になります。
- 原則として、満3歳になった後の最初の4月1日から小学校入学前までである
- 自治体から保育の必要性の認定を受けている
- 無償化の対象として確認された施設を利用している
- 認可保育所や認定こども園の保育部分などを利用していない
幼稚園は満3歳から利用料の無償化が始まる場合がありますが、認可外保育施設等の3〜5歳児クラスとは開始時期が異なるため注意が必要です。
0〜2歳児クラスの対象条件
0〜2歳児クラスは、住民税非課税世帯で、保育の必要性について認定を受けている場合、月額4万2,000円までが無償化の対象になります。
対象となる世帯や認定期間は、住民税の課税状況などによって変わることがあります。詳しい条件は、住んでいる市区町村に確認しましょう。
保育の必要性の認定とは
認可外保育施設等の無償化を受けるには、自治体から施設等利用給付認定を受ける必要があります。
保育を必要とする事由には、一般的に次のようなものがあります。
- 就労
- 妊娠や出産
- 保護者の病気や障害
- 家族の介護や看護
- 求職活動
- 就学や職業訓練
- 災害からの復旧
就労している場合でも、必要な就労時間などの要件は自治体によって異なります。共働きであることだけで必ず認定されるとは限らないため、事前に自治体の基準を確認してください。
利用するプリスクール側にも条件がある
無償化の対象になるためには、原則として利用する認可外保育施設が都道府県等へ必要な届出を行い、国が定める基準を満たしたうえで、市区町村から対象施設として確認されている必要があります。
自治体による経過措置や個別の取り扱いが設けられている場合もあるため、自治体が公表している無償化対象施設の一覧を確認しましょう。
施設のホームページに「無償化対象」と書かれている場合も、現在の対象状況を自治体の情報と照らし合わせると安心です。
無償化の対象外となる費用
無償化は、対象となる利用料を上限額まで給付する制度です。すべての費用が無料になるわけではありません。
次のような費用は、対象外となることがあります。
- 食材料費
- 通園送迎費
- 行事費
- 入園料
- 制服や指定用品の費用
- 教材費
- 施設維持費
- 上限額を超える利用料
たとえば、無償化の対象となる月額利用料が10万円で、月額3万7,000円まで給付される場合、利用料部分の自己負担は6万3,000円です。これに給食費や送迎費などが加わることがあります。
実際の給付額は、対象となる利用料と月額上限額のうち低い方です。請求方法も、いったん全額を支払って後から給付を受ける方法と、施設を通じて処理する方法などがあり、自治体によって異なります。
無償化を利用する際の確認手順
- 住んでいる自治体の無償化対象施設一覧を確認する
- 保育の必要性の認定要件を確認する
- 利用開始前に必要な認定申請を行う
- 施設に対象費用と対象外費用の内訳を確認する
- 自治体の案内に従って給付の請求手続きを行う
認定を受ける前の利用分は給付の対象にならない場合があります。入園が決まってからではなく、検討段階で自治体に手続きの期限を確認しておきましょう。
プリスクールで経験できる学び
生活や遊びの中で英語に触れられる
英語プリスクールでは、歌、遊び、制作、食事、日常のやり取りなどを通じて、英語に触れる時間を設けています。
英語を教科として学ぶだけでなく、生活や活動の中で使う機会があるため、英語の音や表現に親しみやすいことが特徴です。
ただし、通園するだけで誰でも同じように英語を身につけられるわけではありません。英語への慣れ方や発話の時期には個人差があり、通園日数、使用する言語の量、指導方法、家庭での環境、卒園後の学習状況などにも左右されます。
異なる言葉や文化に触れられる
施設によっては、海外の行事、音楽、絵本、食文化などを活動に取り入れています。複数の言語や文化に触れる経験は、自分とは異なる考え方や習慣に関心を持つきっかけになります。
ただし、在籍する子どもの国籍や家庭環境は施設ごとに異なります。プリスクールであれば必ず多国籍な環境になるとは限らないため、実際の活動内容や園の方針を確認しましょう。
集団生活を通じた関わりを経験できる
プリスクールでは、友達と一緒に遊ぶ、順番を待つ、相手の話を聞く、自分の気持ちを伝えるといった集団生活を経験します。
こうした経験は認可保育所や幼稚園でも得られるものですが、英語を使うプリスクールでは、言葉だけでなく表情や動作も使いながら相手に伝える場面が生まれることがあります。
子どもの反応には個人差があるため、英語環境に慣れるまでのサポートや、日本語で相談できる体制も確認しておくと安心です。
共働き家庭がプリスクールを選ぶ際の確認ポイント
就業時間と預かり時間が合っているか
最初に、保護者の勤務時間と施設の預かり時間を照らし合わせましょう。
- 出勤時刻までに登園できるか
- 通常の降園時刻までに迎えに行けるか
- 延長保育が必要な曜日に利用できるか
- 延長保育の定員や事前予約の条件があるか
- 送迎バスの時間や停留場所が合っているか
延長保育がある場合でも、毎日利用できるとは限りません。利用回数、申し込み期限、追加料金なども確認が必要です。
長期休業中の預け先を確保できるか
プリスクールに夏休みや春休みがある場合、その期間中の預け先を考えておく必要があります。
施設によっては、通常の月額料金とは別に、サマースクールなどの季節プログラムを実施しています。実施期間、対象年齢、預かり時間、追加料金を年間スケジュールとともに確認しましょう。
年間の総費用を無理なく支払えるか
プリスクールの費用を検討するときは、無償化後の月額利用料だけで判断しないことが大切です。
- 初年度に必要な入園料
- 毎月の利用料と延長保育料
- 給食費と送迎費
- 教材や指定用品の費用
- 季節プログラムの費用
- 進級時に必要な費用
無償化の対象範囲を確認したうえで、年間総額を計算し、継続して通えるかを検討しましょう。
施設の制度上の位置づけと安全体制
プリスクールという名称だけでは、施設の制度上の位置づけは分かりません。見学や契約の前に、次の点を確認しましょう。
- 認可外保育施設として自治体に届出をしているか
- 幼児教育・保育の無償化の対象施設か
- 職員の配置や保有資格
- けがや体調不良が起きた場合の対応
- 避難訓練や災害時の連絡方法
- 送迎時の引き渡しルール
- 保険への加入状況
届出や無償化の対象であることだけで施設の質が一律に決まるわけではありません。実際の保育環境や職員の対応も見学時に確認することが大切です。
英語を使う時間と指導体制
英語環境を重視する場合は、講師の国籍だけでなく、どの時間にどの程度英語を使うのかを確認しましょう。
- 一日のうち英語を使う時間
- 担任や補助職員の配置
- 講師の幼児教育や保育の経験
- 子どもが英語環境に慣れない場合の支援
- 日本語で保護者と連絡できる職員の有無
- 欠席や体調不良時の連絡体制
英語を母語とする講師が在籍していても、それだけで指導の質が決まるわけではありません。子どもの発達への理解、指導経験、カリキュラム、職員同士の連携も重要な確認項目です。
家庭の考え方と教育方針が合っているか
プリスクールによって、自由な遊び、集団活動、探究活動、英語使用の割合など、重視する内容が異なります。
見学時には、次の点を質問してみましょう。
- どのような子どもの姿を目指しているか
- 一日の活動をどのように決めているか
- 子ども同士のトラブルにどう対応するか
- 英語を話さない子どもをどう支援するか
- 家庭との情報共有をどのように行うか
有名な教育方法を採用しているかだけでなく、実際の保育や教育にどのように反映されているかを確認することが大切です。
小学校進学後の学びにつながるか
卒園後に日本の小学校へ進学する場合は、日本語で話を聞く、文字に親しむ、学校生活のルールを知るといった経験も重要です。
英語と日本語をどのようなバランスで使用しているか、小学校入学に向けた支援があるかを確認しましょう。
卒園後も英語を続けたい場合は、系列のアフタースクールや卒園児向けプログラムの有無も判断材料になります。ただし、卒園後のプログラムがあることだけで英語力の維持が保証されるわけではありません。
認可保育所とプリスクールはどちらが共働き家庭に向いているか
認可保育所が選択肢になりやすい家庭
次のような条件を重視する家庭では、認可保育所が選択肢になりやすいでしょう。
- 勤務時間に合わせた長時間保育を必要としている
- 幼稚園のような長期休業がない施設を希望している
- 世帯状況に応じた保育料制度を利用したい
- 生活や遊びを中心とした保育を希望している
- 自治体を通じた入所申し込みを希望している
ただし、開所時間、行事、教育方針、給食などは認可保育所ごとに異なります。認可施設であることだけで判断せず、園ごとの特徴を比較しましょう。
プリスクールが選択肢になりやすい家庭
次のような希望があり、施設の利用条件と家庭の生活が合っている場合は、プリスクールを検討できます。
- 生活や遊びの中で英語に触れる機会を増やしたい
- 施設独自のカリキュラムに共感している
- 預かり時間が保護者の勤務時間に合っている
- 長期休業中の預け先を確保できる
- 無償化後を含む年間費用を無理なく負担できる
英語教育だけでなく、子どもの性格や施設との相性、通園による負担も含めて検討しましょう。
保育所と英語プログラムを組み合わせる方法
認可保育所に通いながら、休日や夕方に民間の英語教室や短時間のプリスクールプログラムを利用する方法もあります。
この方法であれば、日中の保育環境を維持しながら、英語に触れる機会を取り入れられます。ただし、子どもの休息時間が少なくならないよう、通園日数や移動時間への配慮が必要です。
また、認可保育所や認定こども園の保育部分を利用している場合、追加で利用する認可外保育施設等の料金は、原則として幼児教育・保育の無償化の対象になりません。併用するサービスの料金は、全額自己負担になることを前提に確認しましょう。
まとめ|プリスクールと保育園の違いを確認して家庭に合う施設を選ぼう
プリスクールと認可保育所では、制度上の位置づけ、申し込み方法、預かり時間、費用、長期休業、カリキュラムなどが異なります。
一方で、認可保育所でも養護と教育を一体的に行っているため、「保育所は預かる場所、プリスクールは教育する場所」と単純に分けることはできません。
認可外保育施設等として無償化の対象になっているプリスクールでは、保育の必要性について認定を受けた3〜5歳児クラスは月額3万7,000円まで、住民税非課税世帯の0〜2歳児クラスは月額4万2,000円までが対象になります。
ただし、3〜5歳児クラスの対象期間は、原則として満3歳になった後の最初の4月1日からです。保護者側の認定だけでなく、利用する施設が無償化の対象であることも確認しなければなりません。
預け先を選ぶ際は、教育内容だけでなく、預かり時間、休園日、年間費用、安全体制、食事、子どもとの相性まで確認しましょう。複数の施設を見学し、家庭の働き方と子どもの様子に合った環境を検討することが大切です。

