インターナショナルスクールの幼稚園・プリスクール部門を検討する際、学費とともに確認しておきたいのが、幼児教育・保育の無償化です。
インターナショナルスクールでも、一定の条件を満たせば無償化の対象になる場合があります。ただし、「インターナショナルスクール」という名称だけで対象になるわけではありません。
施設の法的な位置付け、子どもの年齢、保育の必要性の認定、自治体による施設の確認などによって、制度を利用できるかが決まります。
この記事では、インターナショナルスクールの幼稚園・プリスクール部門が無償化の対象になる条件、給付上限額、対象外になりやすい費用、自己負担額の考え方を解説します。
制度の対象や申請方法は自治体や施設によって異なるため、入園前に居住する自治体とスクールの両方へ確認してください。
インターナショナルスクールの幼稚園は無償化の対象になる?
インターナショナルスクールの幼稚園・プリスクール部門は、認可外保育施設として幼児教育・保育の無償化の対象になる場合があります。
ただし、インターナショナルスクールは法律上の施設区分ではありません。施設によって、幼稚園、認定こども園、認可外保育施設、各種学校など、位置付けが異なります。
適用される制度や給付上限額も施設区分によって変わるため、まずは希望するスクールがどの区分に該当するかを確認することが大切です。
認可外保育施設として対象になるケース
認可外保育施設として無償化の対象になるには、原則として次の条件を満たす必要があります。
- 子どもが3歳児クラスから5歳児クラスに該当する
- 居住する市区町村から保育の必要性の認定を受けている
- 施設が児童福祉法に基づく届出を行っている
- 施設が国の定める指導監督基準を満たしている
- 施設が無償化対象施設として市区町村の確認を受けている
認可外保育施設については、原則として国の指導監督基準を満たすことが必要です。ただし、2030年3月末までの間は、都道府県知事が個別に指定した施設が例外的に対象となる場合があります。
最終的には、自治体が公開している無償化対象施設の一覧で確認してください。
3歳になった直後から対象になるとは限らない
認可外保育施設を利用する場合、無償化の対象期間は原則として、満3歳になった後の4月1日から小学校入学前までです。
たとえば、年度の途中で3歳になった場合でも、その日から直ちに3~5歳児クラスの無償化が始まるわけではありません。
幼稚園では満3歳から対象になる制度がありますが、認可外保育施設とは扱いが異なります。年齢だけでなく、子どもが何歳児クラスに該当するかを確認しましょう。
なお、0~2歳児クラスについては、住民税非課税世帯で保育の必要性が認められる場合に、別の上限額で対象になることがあります。
無償化の給付上限額はいくら?
認可外保育施設を利用する3~5歳児クラスの給付上限額は、利用する時期によって次のように異なります。
- 2026年9月利用分まで:月額最大37,000円
- 2026年10月利用分から:月額最大40,300円
給付されるのは、無償化の対象となる利用料と月額上限額を比較して、低いほうの金額です。
たとえば、対象となる月額保育料が30,000円の場合、40,300円全額が支給されるわけではなく、実際に支払った30,000円が上限となります。
月の途中で認定期間が始まった場合や、転出入などがあった場合には、上限額が日割りになることがあります。
月額10万円のスクールに通う場合の試算
対象となる保育料が月額100,000円だった場合、自己負担額の目安は次のとおりです。
- 2026年9月利用分まで:100,000円-37,000円=63,000円
- 2026年10月利用分から:100,000円-40,300円=59,700円
2026年10月以降の上限額が12か月間適用され、毎月100,000円の保育料を支払ったと仮定すると、年間の計算は次のようになります。
- 年間保育料:1,200,000円
- 給付上限額:483,600円
- 保育料の自己負担額:716,400円
これは保育料だけを用いた試算です。入園料、給食費、通園費などは含まれていません。また、認定期間や利用状況によって実際の給付額は変わります。
無償化を受けるための主な条件
自治体から保育の必要性の認定を受ける
認可外保育施設の無償化を利用するには、居住する市区町村から「子育てのための施設等利用給付認定」を受ける必要があります。
保育の必要性が認められる主な理由には、次のようなものがあります。
- 就労
- 妊娠・出産
- 保護者の病気や障がい
- 家族の介護や看護
- 就学や職業訓練
- 求職活動
就労時間などの具体的な基準は自治体によって異なります。パートタイム勤務でも基準を満たす場合がありますが、必要な勤務時間や提出書類は居住する自治体で確認してください。
スクールが無償化対象施設であることを確認する
保護者が保育の必要性の認定を受けていても、利用するスクールが無償化対象施設として確認されていなければ給付を受けられません。
入園前に、次の点をスクールと自治体の両方へ確認しましょう。
- 施設の法的な区分
- 認可外保育施設としての届出の有無
- 指導監督基準を満たしているか
- 自治体の無償化対象施設一覧に掲載されているか
- 対象となる利用料の範囲
他の認可保育所、認定こども園、地域型保育事業、企業主導型保育施設などを利用している場合、認可外保育施設の利用料が無償化の対象にならないこともあります。
利用開始前に申請する
施設等利用給付認定は、原則として利用開始前の申請が必要です。
申請日より前にさかのぼって認定を受けることはできません。入園後に申請した場合、申請前に支払った保育料が給付対象にならない可能性があります。
一般的には、次のような書類の提出を求められます。
- 子育てのための施設等利用給付認定申請書
- 就労証明書など保育の必要性を証明する書類
- 子どもや保護者の情報を確認する書類
書類の名称、提出先、受付期限は自治体によって異なります。4月入園を予定している場合は、前年から手続き案内が始まることもあるため、早めに確認しましょう。
給付はどのように受け取る?
無償化の給付方法は、自治体や施設によって異なります。
主な方法は次の2つです。
償還払い
保護者が一度スクールへ利用料を全額支払い、領収証などを添えて自治体へ請求し、後日給付を受ける方法です。
代理受領
施設が保護者に代わって給付費を受け取り、保護者は給付分を除いた金額を施設へ支払う方法です。
必ずしも毎月の請求時に給付額が差し引かれるとは限りません。給付の時期や請求頻度も自治体によって異なるため、事前に確認してください。
無償化の対象になる費用・ならない費用
認可外保育施設の無償化で基本的に対象となるのは、保育料や利用料として区分されている費用です。
対象になる可能性がある費用
- 通常の保育・教育時間に対する月額保育料
- 日額や時間単位で設定された対象施設の利用料
実際にどこまでが保育料として認められるかは、施設の料金区分や自治体の審査によって異なります。
対象外になりやすい費用
- 入園料・入会金・登録料
- 出願料・選考料
- 給食費・ランチ代
- スクールバス代などの通園送迎費
- 行事費・イベント参加費
- 制服や通園バッグなどの購入費
- 教材や日用品などの実費
- 任意参加の課外活動費
施設維持費、施設設備費、教材費などは、名称だけでは対象かどうかを判断できない場合があります。保育料に含まれるのか、実費として別に徴収されるのかをスクールと自治体へ確認してください。
インターナショナルスクールの学費を確認する方法
インターナショナルスクールの料金は施設が独自に設定しているため、スクールによって大きく異なります。
学費を比較する際は、月額授業料だけでなく、年間に支払う費用の総額を確認することが重要です。
確認しておきたい主な費用
- 月額または年額の授業料・保育料
- 入園料・登録料・出願料
- 施設維持費・設備費
- 教材費・制服代・指定用品代
- 給食費・ランチ代
- スクールバス代
- 延長保育料
- 課外活動や季節プログラムの参加費
- 進級時に発生する費用
料金表に「授業料」とだけ記載されていても、給食費や施設費が別途必要な場合があります。年間総額を計算する際は、必須費用と任意費用を分けて整理しましょう。
自己負担額の計算方法
おおよその自己負担額は、次の計算式で確認できます。
年間自己負担額=年間の対象保育料-施設等利用費+無償化対象外の費用
ただし、給付上限額の変更、月途中の認定、欠席時の料金、休園期間中の学費などによって実際の金額は変わります。
私立幼稚園との費用を単純に比較できない理由
一般的な私立幼稚園とインターナショナルスクールでは、施設の法的な区分や適用される無償化制度が異なる場合があります。
私立幼稚園でも、子ども・子育て支援新制度へ移行している園と、私学助成を受けている園では制度上の扱いが異なります。
一方、インターナショナルスクールの幼稚園・プリスクール部門は、認可外保育施設として扱われることがあります。
そのため、授業料だけを比較するのではなく、次の金額を確認することが大切です。
- 入園から卒園までに支払う総額
- 無償化の対象になる金額
- 無償化対象外の費用
- 自治体独自の支援を差し引いた後の自己負担額
スクールによって学費が異なる主な要因
インターナショナルスクールの学費には、運営形態や提供する教育・保育内容が影響します。
クラス人数とスタッフ配置
少人数のクラスや複数担任制を採用している場合、必要なスタッフ数が増え、料金に反映されることがあります。
カリキュラムや認定制度
独自教材、外部教育プログラム、国際的な認定制度などを導入している施設では、教材、研修、認定維持などの費用が発生する場合があります。
施設や付帯サービス
施設の広さ、設備、給食、送迎、延長保育、課外活動などの内容によっても総額は変わります。
施設の法的区分と公的支援
施設の区分によって、運営費に対する公的支援や無償化制度の仕組みが異なります。ただし、学費の高さには複数の要因があるため、公的支援の有無だけで判断することはできません。
費用負担を抑えるために確認したいこと
国の無償化制度を入園前に申請する
対象になる家庭でも、利用前に認定を受けていなければ給付を受けられない期間が生じる可能性があります。
入園日と認定開始日が一致するよう、自治体の申請期限を早めに確認しましょう。
自治体独自の支援制度を確認する
国の無償化制度とは別に、認可外保育施設の利用料補助や、多様な集団活動を利用する家庭への支援を実施している自治体があります。
制度の有無、対象施設、所得要件、申請方法は地域によって異なります。
スクール独自の割引制度を確認する
スクールによっては、兄弟姉妹での通園、早期手続き、年間一括払いなどを対象とした割引制度を設けている場合があります。
すべてのスクールで利用できるわけではないため、公式料金表や募集要項で確認してください。
任意費用を含めて比較する
給食、バス、延長保育、課外活動などが任意であれば、家庭の送迎環境や生活時間に合わせて利用内容を検討できます。
ただし、実際には利用が必須となっている費用もあるため、契約前に確認しましょう。
入園前に立てておきたい資金計画
卒園までの総額を試算する
初年度は入園料や指定用品代が加わるため、2年目以降より費用が高くなる場合があります。
月額料金だけではなく、入園から卒園までに必要な総額を年度ごとに計算しましょう。
小学校以降の進路も確認する
卒園後に公立小学校、私立小学校、インターナショナルスクールのどの進路を検討するかによって、その後の教育費は変わります。
進学を希望する学校の学費だけでなく、入学条件や卒業資格、日本の学校への転入条件なども確認しておくと安心です。
追加費用に備える
年度途中には、行事費、教材費、制服の買い替え、季節プログラムなどの費用が発生する場合があります。
料金表に記載された必須費用に加え、任意参加の費用も含めて予算に余裕を持たせておきましょう。
費用以外に確認したい教育・保育環境
スクールを選ぶ際は、無償化の対象や学費だけでなく、子どもに合う環境かどうかも確認することが大切です。
英語を使う時間と場面
英語を使う時間、講師との会話、遊びや生活の中で英語を使う場面はスクールによって異なります。
英語に触れる機会を増やせる可能性はありますが、身につく力や習得のペースには個人差があります。
日本語でのサポート体制
入園直後の子どもへの対応、保護者への連絡、体調不良や緊急時の説明を日本語で受けられるか確認しましょう。
講師やスタッフの配置
講師の経験や資格、クラス人数、担任の人数、日本人スタッフとの連携体制なども確認したい項目です。
子どもとの相性
英語環境への慣れ方や集団生活への適応は、子どもによって異なります。説明会や見学、体験保育などを通して、子どもが安心して過ごせる環境かを確認しましょう。
まとめ|施設区分と給付対象額を確認してから検討しよう
インターナショナルスクールの幼稚園・プリスクール部門は、認可外保育施設として一定の条件を満たす場合、幼児教育・保育の無償化の対象になります。
認可外保育施設を利用する3~5歳児クラスの給付上限額は、2026年9月利用分までは月額37,000円、2026年10月利用分からは月額40,300円です。
ただし、保護者が保育の必要性の認定を受け、利用する施設が無償化対象施設として確認されている必要があります。
また、給食費、通園送迎費、行事費、物品購入費などは原則として自己負担です。施設維持費や教材費についても、料金の区分によって扱いが異なるため確認が必要です。
入園を検討する際は、自治体の対象施設一覧、スクールの公式料金表、給付方法、対象外費用を確認し、卒園までの総額を試算しましょう。
制度内容は変更される場合があります。最新情報は、こども家庭庁の幼児教育・保育の無償化案内と、居住する自治体の案内で確認してください。

