「幼児期から英語に触れさせたいものの、無理に覚えさせるような学習は避けたい」と考えている保護者もいるのではないでしょうか。
英語のイマージョン教育とは、英語を学習の対象として扱うだけでなく、英語を使って遊びや活動などに取り組み、内容とともに言葉に触れていく教育方法です。ただし、英語を使用する時間や日本語との使い分けは、施設やプログラムによって異なります。
本記事では、幼児向けの英語イマージョン教育の特徴・期待できること・注意点・家庭で取り入れられる方法・プリスクールの選び方を解説します。英語に触れる時間を増やすことだけを目的にせず、子どもの性格や発達段階、家庭の方針に合った環境を考えることが大切です。
幼児の英語学習におけるイマージョン教育の特徴
イマージョン教育では、英語を単語や文法として覚えるだけでなく、遊びや活動、生活上のコミュニケーションなどに使用します。ただし、「一日中英語だけで過ごす」「日本語を一切使わない」といった方法に限られるわけではありません。英語を使用する割合や、日本語を取り入れる場面は施設によって異なります。
言語をコミュニケーションの道具として扱う
イマージョン教育では、英語を教科として学ぶだけでなく、自分の気持ちや希望を伝えるための言葉として使用します。例えば、おやつの時間に欲しいものを伝えたり、遊びの中で友達や先生に声をかけたりする方法です。
具体的な場面と英語表現を結びつけることで、言葉が使われる状況を経験できます。ただし、英語を話すようになる時期や、理解できる表現の範囲には個人差があります。発話を急がせず、身振りや表情も含めてコミュニケーションを楽しめる環境が大切です。
英語を使う時間や場面を設ける
幼児向けのイマージョン教育では、活動や時間帯を決めて英語を使う場合があります。園での挨拶・歌・制作活動・外遊びなどを英語で進めることで、子どもが英語の音や表現に触れる機会を増やします。
英語を使用する割合や日本語での支援方法は、施設によって異なります。入園を検討する際は、日本語と英語をどのように使い分けているのか確認しましょう。
遊びや生活を通じて英語に触れる
幼児期のイマージョン教育では、遊びや生活の中に英語を取り入れる方法が多く見られます。例えば、次のような活動があります。
- 英語の歌に合わせて体を動かす
- 絵の具や粘土を使って制作する
- 絵本の読み聞かせを楽しむ
- 外遊びの中で簡単なやり取りをする
子どもの興味に合った活動であれば、英語に触れることへの抵抗感を抑えやすくなります。ただし、参加の仕方や興味の示し方は子どもによって異なるため、無理に発話や復唱を求めないことが重要です。
幼児が英語のイマージョン教育を選ぶメリット
長時間型のイマージョンプログラムでは、日常的な活動の中に英語を使用する場面や時間を設けている場合があります。ここでは、幼児がイマージョン教育を受けることで期待できることを3つ紹介します。
いずれもすべての子どもに同じ結果が生じるわけではなく、接触時間や教育環境、本人の興味などによって異なります。
英語の音やリズムに触れる機会が増える
英語を使う活動に継続して参加することで、英語特有の音やイントネーション、リズムに触れる機会が増えます。歌や絵本、先生とのやり取りを通じて、耳にした表現を真似することもあるでしょう。こうした経験は、英語の音に慣れるきっかけになります。
ただし、幼児期に英語を学べば、必ず特定の発音を身につけられるわけではありません。発音や聞き取りの力には個人差があり、その後の使用環境にも影響されます。
場面と英語表現を結びつけやすい
イマージョン教育では、目の前の物や動作と英語表現を結びつけながら学べます。例えば、実物のりんごを見ながら「apple」と聞いたり、手を洗う場面で「Wash your hands」と声をかけられたりします。
具体的な場面で繰り返し英語を耳にすることで、表現の意味を理解するきっかけになります。ただし、英語を日本語に訳さず理解できるようになるかどうかや、その時期は子どもによって異なります。
異なる文化や価値観に触れる機会になる
英語を使う活動の中で、海外の歌・絵本・行事・生活習慣などが紹介されることがあります。こうした体験は、日本とは異なる文化や考え方を知るきっかけになるでしょう。
また、さまざまな背景を持つ先生や子どもと関わる施設であれば、多様な人とのコミュニケーションを経験できる場合もあります。ただし、英語を学ぶことだけで異文化への理解が自動的に深まるわけではありません。文化を一面的に紹介せず、違いを尊重する教育方針があるかどうかも確認しましょう。
幼児が英語のイマージョン教育を受ける際の懸念点
イマージョン教育を検討するときは、英語に触れる時間だけでなく、日本語でのコミュニケーション・子どもの負担・施設の運営体制なども確認する必要があります。
日本語を含めた言語環境を考える必要がある
複数の言語に触れる子どもは、会話の中に日本語と英語を混ぜることがあります。これは、複数言語を学ぶ過程で見られることがあり、直ちに混乱や言語発達の遅れを意味するものではありません。
また、日本語だけ、英語だけで語彙を比べると、同年代の子どもより少なく見える場合があります。子どもの言葉を捉えるときは、両方の言語で理解している言葉や使っている言葉を含めて考えることが大切です。
家庭では、保護者が無理に英語だけで話す必要はありません。保護者が自然に豊かなやり取りをできる言語で、会話や読み聞かせを続けましょう。
日本語と英語の両方で言葉の理解やコミュニケーションに関する心配が続く場合は、かかりつけの小児科や自治体の発達相談などに相談する方法があります。
子どもの負担や園での様子を確認する必要がある
英語を使う環境への慣れ方は、子どもによって異なります。初めての場所や分からない言葉に戸惑う子どももいれば、遊びを通じて比較的早く環境に慣れる子どももいます。
英語を話さないことだけを問題にせず、表情・食事・睡眠・登園時の様子などを含めて見守ることが大切です。家庭では、園で覚えた言葉をテストするのではなく、子どもが話したいときに話を聞く姿勢を心がけましょう。
施設によって費用や保育内容が異なる
英語保育を行うプリスクールの費用は、施設によって大きく異なります。確認が必要な費用には、次のようなものがあります。
- 入園金
- 月々の保育料や授業料
- 教材費や施設維持費
- 給食費
- 制服代
- 送迎費
- 行事や延長保育の費用
プリスクールが認可外保育施設に該当する場合でも、一定の条件を満たせば幼児教育・保育の無償化の対象になることがあります。
認可外保育施設の場合、原則として都道府県等への届出を行い、国が定める基準を満たしていることなどが必要です。また、利用する家庭についても、市区町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要があります。対象条件や手続きについては、施設とお住まいの自治体の両方に確認しましょう。
幼児の英語イマージョン教育における他の学習法との違い
幼児向けの英語学習には、英会話スクール・オンラインレッスン・教材・家庭での読み聞かせなど、さまざまな方法があります。イマージョン教育との主な違いは、英語を使う時間や場面、学習の進め方です。
週数回の英会話スクールとの違い
週数回、一定時間受講するタイプの英会話スクールでは、決められた時間の中で挨拶・歌・単語・会話表現などを学ぶ場合があります。一方、イマージョン教育を行う施設では、遊び・食事・制作・身支度など、複数の生活場面で英語を使用することがあります。
ただし、英会話スクールとプリスクールのどちらが適しているかは、家庭の目的や子どもの性格によって異なります。長時間の英語環境がすべての子どもに適しているとは限りません。
暗記を重視する学習との違い
イマージョン教育では、単語や文法を覚えることだけを目的にせず、活動の中で英語を使用します。例えば、「red」「apple」と繰り返し復唱するだけでなく、りんごの色を見たり、数を数えたりしながら表現に触れる方法です。
ただし、施設によっては文字、フォニックス、読み書きなどの学習時間を設けている場合もあります。遊びだけを行う教育方法とは限らないため、具体的なカリキュラムを確認しましょう。
幼児の英語イマージョン教育を家庭で実践する方法
家庭でも、生活の一部に英語を取り入れることは可能です。保護者が流ちょうに英語を話す必要はありません。子どもの反応を見ながら、親子で楽しめる範囲で続けましょう。
英語の絵本で読み聞かせを行う
英語の絵本は、絵・音・言葉を結びつけながら英語に触れられる教材です。最初は、文章が短く、同じ表現が繰り返される絵本を選ぶと取り入れやすくなります。
すべてを正確に訳したり、子どもに復唱させたりする必要はありません。保護者が発音に迷う場合は、音声付きの絵本や出版社が提供する読み上げ音声などを活用する方法もあります。
子どもが日本語で感想を話した場合も、その内容を否定せず、絵本そのものを楽しむことを大切にしましょう。
英語の歌を日常に取り入れる
英語の歌は、音やリズムを楽しみながら、短い表現に触れられる方法です。例えば、次のような場面で取り入れられます。
- 車で移動しているとき
- おもちゃを片付けるとき
- 親子で体を動かすとき
- 入浴前後の落ち着いた時間
同じ歌を繰り返し聞いていると、子どもが一部の音や言葉を真似することがあります。歌わない場合でも、聞いて楽しんでいるのであれば、無理に参加させる必要はありません。
日々の簡単な声かけを英語にする
日常生活で使う短い言葉を、無理のない範囲で英語にする方法もあります。例えば、次のような表現です。
- Good morning.
- Thank you.
- Let’s go.
- Wash your hands.
- Good night.
一日中英語で話す必要はありません。朝の挨拶だけ、片付けの時間だけなど、使う場面を決めると続けやすくなります。
子どもに英語での返事を強制せず、日本語・身振り・表情による返答もコミュニケーションとして受け止めましょう。
幼児が英語のイマージョン教育を受けられるプリスクールの選び方
プリスクールを選ぶ際は、英語を使う時間の長さだけで判断しないことが大切です。子どもが安心して過ごせる環境、安全管理・職員体制・教育方針・家庭への説明などを総合的に確認しましょう。
子どもの性格に合っているか確認する
見学や体験が可能な場合は、子どもが園の雰囲気にどのような反応を示すか確認しましょう。活発に体を動かすことが好きな子どもには、外遊びや運動の時間がある園が合う場合があります。
制作や絵本が好きな子どもには、落ち着いて活動できる時間が用意されている園が向いていることもあります。一度の見学で判断するのではなく、先生の声かけ、困っている子どもへの対応、活動への参加を強制していないかなども確認してください。
英語と日本語の教育方針を確認する
英語を使用する時間や日本語で支援する場面は、施設によって異なります。次のような点を確認しましょう。
- 一日のうち、どの程度英語を使用するのか
- 日本語を使う場面はあるか
- 英語を理解できない子どもをどのように支援するか
- 発話や復唱を強制していないか
- 日本語での会話や読み書きをどのように考えているか
- 保護者に子どもの様子をどのように伝えるか
英語の使用量だけでなく、子どもの気持ちを尊重する方針があるかを確認することが重要です。
施設の区分・安全管理・費用を確認する
プリスクールという名称だけでは、施設の運営形態や行政上の位置づけまでは分かりません。入園前に、次の点を確認しましょう。
- 自治体への届出状況
- 指導監督基準への適合状況
- 保育従事者や講師の資格、経験
- 子どもの人数に対する職員体制
- 事故やけがが起きた場合の対応
- 避難訓練や防災対策
- アレルギーや体調不良への対応
- 年間に必要な費用
- 幼児教育・保育の無償化の対象になるか
施設からの説明だけで判断せず、必要に応じて自治体が公開している施設情報も確認するとよいでしょう。
幼児の英語イマージョン教育で自ら発話したくなる環境づくりの工夫
子どもが英語を話すようになる時期には個人差があります。すぐに発話しない場合でも、英語を聞いたり、身振りで反応したりしていることがあります。無理に言わせるのではなく、伝えたくなる場面と安心して話せる雰囲気を作りましょう。
日常生活の中で英語を使える場面を用意する
家庭では、おやつ・遊び・片付け・挨拶など、状況が分かりやすい場面で短い英語を使うと取り入れやすくなります。
例えば、おやつを選ぶときに「Which one?」と聞き、子どもが指を差したら「This one?」と返す方法があります。英語だけで答えることを求めず、指差しや日本語での返答も受け止めましょう。
英語を使わなければ目的を達成できない状況を作るのではなく、コミュニケーションを楽しめることが大切です。
間違いを恐れず英語を話せる雰囲気を作る
子どもが英語を話したときは、文法や発音の間違いをすぐに訂正するよりも、伝えようとした内容を受け止めましょう。
例えば、子どもが単語だけで伝えた場合は、大人が自然な文章にして返す方法があります。子どもが「Apple」と言ったときに、「Yes, you want an apple.」と返せば、会話を続けながら表現を聞かせられます。
発話の量だけを成果として評価せず、聞く・見る・指差す・身振りで伝えるといった反応も大切にしましょう。
まとめ|幼児の英語イマージョン教育は子どもに合った環境選びが大切
幼児向けの英語イマージョン教育は、英語を教科として学ぶだけでなく、英語を使って遊びや活動などに取り組み、内容とともに言葉に触れていく教育方法です。
英語の音や表現に触れる機会を増やせる一方で、英語を話し始める時期や身につく力には個人差があります。幼児期から英語環境に通えば、必ず特定の発音や語学力が身につくわけではありません。また、複数の言語に触れること自体が、言語発達の遅れを引き起こすわけではありません。
家庭では、保護者が自然に話せる言語で豊かなコミュニケーションを続けながら、英語の絵本・歌・短い声かけなどを無理のない範囲で取り入れましょう。
プリスクールを選ぶ際は、英語を使用する時間だけでなく、子どもとの相性・教育方針・日本語への配慮・職員体制・安全管理・費用・施設の届出状況などを総合的に確認することが大切です。

