「夫婦ともに日本語しか話せないけれど、子どもが英語に親しめる環境をつくりたい」と考えている方もいるのではないでしょうか。
親が英語を流暢に話せなくても、英語の絵本や音楽、オンラインレッスンなどを活用し、子どもが英語に触れる機会をつくることはできます。
ただし、英語に触れれば必ずバイリンガルになれるわけではありません。身につく英語力は、英語を使う頻度や期間、子どもの興味、学習環境などによって異なります。
本記事では、日本でバイリンガルを目指すための環境づくり、年齢に応じた取り組み方、必要な費用の目安、注意点を解説します。
バイリンガル育児で最初に考えたいこと
バイリンガルとは、一般的に二つの言語を使う人を指します。ただし、二つの言語をまったく同じ水準で聞き、話し、読み、書きできることだけがバイリンガルではありません。
家庭では日本語を中心に使い、英語は簡単な会話ができる子どももいます。会話は英語でできても、読み書きは日本語のほうが得意という場合もあります。使う言語や得意な分野は、生活環境や成長段階によって変わることがあります。
そのため、バイリンガル育児を始める前に、家庭での目標を考えておくことが大切です。
- 英語の音や表現に親しんでほしい
- 簡単な英会話を楽しめるようになってほしい
- 英語の絵本を読めるようになってほしい
- 将来的に英語で授業を受けられる力を身につけてほしい
目標によって、家庭学習だけで進めるのか、英会話教室やプリスクールを利用するのかが変わります。
家庭で実践できるバイリンガル育児の3つのポイント
家庭で英語を教えることが難しくても、子どもが英語に触れる環境はつくれます。ここでは、無理なく取り入れやすい三つの方法を紹介します。
親が英語を教えるのではなく環境を整える
子どもが英語に親しむために、親が高い英語力を身につけている必要はありません。
保護者の役割は、英語を正確に教えることだけではなく、子どもが安心して英語に触れられる環境を整えることです。
- 英語の歌や絵本を親子で楽しむ
- 子どもが興味を示した英語表現を一緒に調べる
- 英語を話そうとした姿勢を認める
- 分からないことを親子で学ぶ
親が英語を間違えないように気を張るよりも、「一緒に楽しもう」という姿勢を見せることが、英語への抵抗感を減らすきっかけになります。
短い時間から英語に触れる習慣をつくる
英語に親しむためには、一度に長時間取り組むより、生活の中で無理なく続けることが大切です。
最初から毎日の時間を厳しく決める必要はありません。子どもの年齢や集中できる時間に合わせ、5分程度から始めてもよいでしょう。
- 朝や移動中に英語の歌を聞く
- 寝る前に短い英語絵本を一緒に見る
- 動物や食べ物の名前を英語で確認する
- 年齢に合った英語の音声教材を利用する
乳幼児期は、動画を長時間見せる方法を中心にせず、保護者との会話、歌、絵本、手遊びなど、双方向の関わりを優先しましょう。
動画を利用する場合も、年齢に合った内容を選び、保護者と一緒に短時間見るなど、利用時間や見せ方に配慮することが大切です。
英語を実際に使う機会をつくる
英語の音に慣れてきたら、英語を使って人とやり取りする機会も取り入れてみましょう。
- 絵本を見ながら簡単な単語を一緒に言う
- 挨拶や身近な言葉を生活の中で使う
- 子ども向けオンライン英会話を利用する
- 英語を使うイベントや遊びに参加する
オンライン英会話は送迎が必要なく、家庭で講師と英語を使う機会をつくれる方法です。ただし、対象年齢、レッスン時間、講師の子どもへの対応力などはサービスによって異なります。
子どもが画面の前に座り続けることが難しい場合は、歌やゲームを取り入れたレッスン、保護者が一緒に参加できるコースなどを選ぶと取り組みやすくなります。
日本にいながら英語に触れるメリット
英語に触れる経験には、語彙や会話表現を学ぶこと以外にも、異なる文化や考え方を知るきっかけになるという側面があります。
異なる文化や生活に関心を持つきっかけになる
英語の絵本、歌、動画、講師との会話を通じて、日本とは異なる行事、食文化、生活習慣などに触れられます。
ただし、英語を学ぶだけで多様性への理解が自動的に身につくわけではありません。保護者が「国や家庭によって生活や考え方は違う」と一緒に話すことで、子どもの関心を広げやすくなります。
日本語と英語の表現の違いに気づける
日本語と英語では、語順、音、主語の示し方、気持ちの伝え方などに違いがあります。
二つの言語に触れることで、同じ内容でも複数の伝え方があると知るきっかけになります。言葉の違いを比べる経験は、言語そのものへの興味にもつながります。
将来の学びや進路を考える際の選択肢になる
英語を使う力が身につけば、将来、英語の本やウェブサイトを読んだり、海外の人と交流したりする際に役立つ可能性があります。
- 英語で書かれた情報を調べる
- 海外留学や国際交流を検討する
- 英語を使う授業や活動に参加する
- 海外の人とコミュニケーションをとる
ただし、英語に触れることだけで進学や仕事が有利になるとは限りません。日本語で考え、読み、書く力や、本人の興味、専門知識なども大切です。
バイリンガル育児は何歳から始めるべき?
英語は、幼少期から始めなければ身につかないものではありません。幼児期、小学生、中学生以降では、適した方法や学びやすい内容が異なります。
年齢だけで開始時期を決めるのではなく、子どもの興味、発達段階、生活リズムに合わせて取り入れましょう。
0〜2歳頃は親子のやり取りを大切にする
0〜2歳頃は、日本語や英語の区別にこだわりすぎず、保護者との会話、歌、絵本、手遊びなどを楽しむことが大切です。
- 英語の童謡を一緒に聞く
- 絵を見ながら英語の単語を一つ紹介する
- 英語のリズムに合わせて手遊びをする
- 日本語と英語の絵本を親子で楽しむ
無理に英語を言わせたり、動画を繰り返し見せたりする必要はありません。子どもの表情や反応を見ながら、短い時間で取り入れましょう。
3〜6歳頃は遊びの中で英語に親しむ
3〜6歳頃は、子どもが好きな遊び、歌、キャラクター、体を動かす活動などと英語を組み合わせる方法があります。
- 好きな物語の英語絵本を見る
- 挨拶や色、数字などを遊びに取り入れる
- 英語の歌に合わせて体を動かす
- 子ども向けの英語イベントに参加する
取り組み方には個人差があります。机に座る学習を好む子どももいれば、歌や遊びを通じたほうが集中しやすい子どももいます。
小学生以降は会話と読み書きを組み合わせる
小学生以降は、会話に加えて、アルファベット、単語、簡単な文章などの読み書きを取り入れやすくなります。
- 子ども向けオンライン英会話を受講する
- 英語の文字と音の関係を学ぶ
- 簡単な英語絵本を音読する
- 短い英文でその日の出来事を書く
英語の文字と音の関係を学ぶ方法は、一般に「フォニックス」と呼ばれます。ただし、フォニックスだけで英語の読み書きが完成するわけではないため、語彙、会話、読書などと組み合わせることが大切です。
日本でバイリンガルを目指すための費用
英語教育にかかる費用は、家庭学習、オンライン英会話、通学型スクールなど、選ぶ方法によって大きく異なります。
以下は一般的な目安です。実際の料金は、サービス、地域、受講回数、施設、年度によって異なるため、利用前に最新情報を確認してください。
家庭学習にかかる費用
無料の音声、図書館の絵本、家庭にある動画配信サービスなどを利用すれば、費用を抑えて始められます。
- 無料の音声・学習プリント:0円
- 動画や音楽の配信サービス:月額数百円〜2,000円程度
- 英語絵本:1冊1,000円〜3,000円程度
- 市販教材:数千円〜数万円程度
高額な教材を最初にまとめて購入するより、子どもが興味を持つか確認しながら少しずつそろえる方法が安心です。
オンライン英会話にかかる費用
子ども向けオンライン英会話は、受講回数や講師によって料金が異なります。
- 月4回程度:月額3,000円前後から
- 週2〜3回程度:月額5,000円〜10,000円程度
- 毎日受講するプラン:月額6,000円〜10,000円以上
日本人講師やネイティブ講師を選ぶ場合、教材を別途購入する場合などは、料金が高くなることがあります。
料金だけでなく、子どもの年齢に対応しているか、保護者の付き添いが必要か、予約を取りやすいか、休会や退会の条件はどうなっているかも確認しましょう。
インターナショナルプリスクールにかかる費用
英語を使って長時間過ごす環境として、インターナショナルプリスクールを利用する方法もあります。
ただし、「プリスクール」「インターナショナルスクール」という名称には、法令上統一された施設区分がありません。幼稚園、認可外保育施設、各種学校など、施設ごとに法的位置づけが異なります。
費用は、週に通う日数、保育時間、地域、施設によって大きく異なり、年間100万円未満から200万円を超える施設まであります。
- 入園選考料・出願料
- 入園料
- 年間または月額の授業料
- 施設維持費
- 教材費
- 給食費
- 制服・指定用品代
- スクールバス代
- 延長保育料
- 行事・課外活動費
授業料だけで判断せず、初年度に必要な総額と、翌年度以降に継続してかかる費用を分けて確認しましょう。
幼児教育・保育の無償化を利用できる場合がある
インターナショナルプリスクールが認可外保育施設などに該当し、無償化の対象施設となっている場合は、幼児教育・保育の無償化を利用できることがあります。
認可外保育施設などでは、市区町村から「保育の必要性の認定」を受けることなどが条件です。対象となる場合、原則として3〜5歳は月額3万7,000円まで、住民税非課税世帯の0〜2歳は月額4万2,000円までが無償化の対象となります。
施設費、給食費、送迎費、行事費などは対象外になる場合があります。施設が無償化の対象かどうかも含め、入園前に施設と居住する市区町村へ確認してください。
制度の詳細は、こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化」でも確認できます。
より多くの英語に触れる環境をつくる方法
家庭学習に加えて、家庭外で英語を使う機会を取り入れると、実際のやり取りを経験しやすくなります。
インターナショナルプリスクールを検討する
インターナショナルプリスクールでは、遊び、工作、食事、集団活動などに英語を取り入れている施設があります。
ただし、英語を使う割合や日本語によるサポート体制は施設によって異なります。「インターナショナル」という名称だけで判断せず、次の点を確認しましょう。
- 一日のうち英語を使う時間
- 日本語によるサポートの有無
- 子ども一人あたりの職員配置
- 講師や保育スタッフの資格・経験
- 認可外保育施設などの届出状況
- 安全管理と緊急時の対応
- 小学校進学後の学習環境
- 年間に必要な費用の総額
子どもとの相性を確認するため、可能であれば説明会、見学、体験保育などを利用しましょう。
休日や放課後に英語を使う活動を取り入れる
毎日スクールに通うことが難しい場合は、休日や放課後に英語を使う活動を取り入れる方法もあります。
- 週末の英語イベントに参加する
- 英語を使う体験型教室に参加する
- 海外の講師とオンラインで話す
- 英語の歌や工作を楽しむ時間をつくる
「英語以外は話してはいけない」と厳しく決める必要はありません。親子が知っている英語を無理なく使い、分からないときは日本語も交えながら楽しむことが大切です。
日本でバイリンガルを目指す際の注意点
家庭で最も自然に使える言語も大切にする
英語教育を始める際も、家庭で最も自然に使える言語での会話を減らす必要はありません。
保護者が日本語を最も自然に話せる場合は、日本語で気持ちや出来事を丁寧に伝え合う時間を大切にしましょう。子どもが質問したことに詳しく答えたり、絵本を読んだり、体験したことを一緒に振り返ったりすることも重要です。
日本語と英語のどちらか一方を選ぶのではなく、家庭での豊かな日本語のやり取りを続けながら、英語に触れる機会を追加するという考え方が適しています。
英語を無理に続けさせない
子どもが強く嫌がっているときに、英語の学習を無理に続けさせることは避けましょう。
教材が合っていない、レッスンが長い、内容が難しい、講師との相性が合わないなど、英語そのもの以外に原因がある場合もあります。
一度休んだり、歌や遊びに切り替えたり、別の教材を試したりしながら、子どもが取り組みやすい方法を探しましょう。
短期間の成果を求めすぎない
英語を聞いて理解することと、自分から英語を話すことでは、身につくまでの期間が異なる場合があります。
英語を聞いていても、すぐに言葉として出てこないことがあります。単語数や発音だけで判断せず、歌に反応する、知っている表現を理解する、英語の活動を楽しむといった変化にも目を向けましょう。
周囲の子どもと比べるのではなく、本人の以前の様子と比べながら、無理なく続けることが大切です。
まとめ|日本で無理なく英語環境をつくろう
親が英語を流暢に話せなくても、絵本、音楽、遊び、オンライン英会話などを活用し、子どもが英語に触れる環境をつくることはできます。
ただし、英語に触れれば必ずバイリンガルになれるわけではありません。身につく力や適した方法は、子どもの興味、発達段階、英語を使う頻度、継続期間などによって異なります。
まずは、親子で英語の歌を聞く、短い絵本を一緒に見るなど、負担の少ない方法から始めてみましょう。
より多くの英語環境を求める場合は、オンライン英会話やインターナショナルプリスクールも選択肢になります。費用だけでなく、英語を使う時間、日本語のサポート、安全管理、施設の法的位置づけなどを確認することが大切です。
家庭で自然に使える日本語も大切にしながら、子どものペースに合わせて英語に触れる機会を少しずつ増やしていきましょう。

