「プリスクールって英語ばかりで、体を動かす時間はあるの?」——そんな疑問を感じながら、園選びを進めている保護者の方もいるでしょう。
プリスクールの中には、英語と外遊び・運動を組み合わせたプログラムを設けている園があります。体を動かしながら英語を聞いたり、遊びの場面で言葉を使ったりすることで、英語を実際の状況と結びつけて経験できます。
この記事では、外遊び・運動が幼児期にどのような経験につながるのか、プリスクールで取り入れられることのある運動活動5種類、英語と運動の両方を大切にしている園の見極め方まで解説します。見学時に確認したいポイントも紹介するため、園選びの参考にしてください。
※本記事で紹介する発達・学習との関わり方には、子どもの発達段階・個人差・園の環境や指導方法などによる違いがあります。園選びの参考情報としてお読みください。
プリスクールで外遊び・運動が重要な理由
プリスクールに外遊びや運動の時間がどれだけ含まれているか、気になっている保護者の方は多いでしょう。幼児期に体を動かす経験は、体力や運動能力の基礎を培うだけでなく、遊びを通じて意欲・社会性・創造性などに触れる機会にもなります。
体力・運動能力の基礎づくり
幼児期は、さまざまな遊びを通して体力や運動能力の基礎を培う大切な時期です。走る・跳ぶ・投げるといった多様な動きを遊びの中で経験することは、体の使い方やバランスを学ぶ機会になります。
文部科学省の「幼児期運動指針」では、家庭や地域での活動も含めた一日の生活全体で、幼児がさまざまな遊びを中心に毎日合計60分以上、楽しく体を動かすことが望ましいとされています。
この60分は、園だけで確保する時間ではありません。また、時間だけを重視するのではなく、子どもの興味や発達段階に合わせて、多様な動きを楽しく経験することが大切です。
外遊びや運動の機会を設けているプリスクールは、幼児期にさまざまな動きを経験できる環境の一つになり得ます。実施内容や頻度は園によって異なるため、見学時に具体的なスケジュールを確認しましょう。
運動と認知・社会性との関わり
体を動かす遊びには、運動そのものだけでなく、周囲を見て判断したり、友だちと関わったり、自分で遊び方を工夫したりする場面があります。
たとえば外遊びでは、「どうすれば一緒に楽しく遊べるか」を考えたり、新しい遊び方を試したりすることがあります。こうした経験は、子どもが自分で考えたり、工夫したりする機会になります。
運動と認知機能などとの関係については研究が続けられている分野です。特定の運動によって能力が必ず高まると考えるのではなく、多様な遊びを経験すること自体を大切にしましょう。
生活リズムや睡眠との関わり
日中に体を動かすことは、規則的な生活習慣をつくるうえで大切な活動の一つです。ただし、運動をすれば必ず睡眠が改善するというものではありません。
就寝・起床時刻をできるだけ一定に保つことや、子どもの体調に合わせて活動量を調整することも大切です。子どもの集中しやすさや気分、必要な休息には個人差があるため、活動内容と生活習慣をあわせて考えましょう。
外遊び・運動で経験できる非認知的な力
「非認知能力」とは、学力テストなどの数値だけでは捉えにくい、意欲・協調性・自己調整などに関わる力を指す際に使われる言葉です。
外遊びや運動では、友だちとのやり取りや挑戦する経験を通じて、こうした力に関わる場面が生まれます。ただし、運動するだけで特定の能力が身につくわけではなく、保育者の関わり方や活動環境も重要です。
協調性や社会性を経験する
集団で遊んだり体を動かしたりする中では、子ども同士が一緒に活動する経験が生まれます。鬼ごっこやボール遊びなど、ルールのある遊びを通じて、順番を待ったり、相手の様子を見たり、役割を分担したりする場面があります。
うまくいかないときに「もう一回やろう」と声をかけ合うことも、人と関わる経験の一つです。こうした体験を重ねることが、小学校以降の集団生活につながる経験になる場合があります。
挑戦する意欲や達成感につながる経験
「できた」と感じる経験は、子どもが自分の変化に気づき、「次もやってみよう」と思うきっかけになることがあります。
初めは難しかった動きに少しずつ慣れたり、自分なりの方法で活動に参加できたりすることも大切な経験です。
発達段階や得意・苦手には個人差があります。全員に同じ結果を求めるのではなく、それぞれの子どもが無理なく参加し、「できた」「楽しかった」と感じられる環境かどうかを確認しましょう。
気持ちの切り替えや自己調整を経験する
外遊びや運動では、思い通りにならなかったり、順番を待ったり、勝敗を経験したりする場面があります。
そうしたときに保育者が気持ちを受け止め、一緒に次の行動を考えることは、子どもが気持ちを整理する方法を経験する機会になります。
一方、活動量や内容が子どもの状態に合っていない場合は負担になることもあります。子どもの様子を日頃から観察し、無理なく参加できているかを確認しながら調整することが大切です。
プリスクールで取り入れられる運動活動5種類
プリスクールの活動内容は園によって大きく異なります。ここでは、園のカリキュラムに取り入れられることのある代表的な活動を5つ紹介します。
英語と組み合わせる園では、運動や遊びの場面で先生の英語を聞いたり、簡単な表現を使ったりする機会が設けられる場合があります。
外遊び:多様な動きと好奇心につながる活動
外遊びは、歩く・走る・しゃがむ・登る・運ぶなど、多彩な動きを遊びながら経験できる活動です。
砂場で遊ぶ、落ち葉や石を拾う、遊具で体を動かすといった活動には、手指を使ったり、姿勢を変えたり、バランスを取りながら動いたりする場面があります。
外の環境には季節や天候による変化があるため、子どもが身近な自然に気づいたり、疑問をもったりするきっかけにもなります。保育者が子どもの発見に寄り添い、一緒に考える環境も大切です。
英語を使う先生と外遊びをする園では、「Look at this!」「Let’s go!」などの表現を実際の遊びと結びつけて聞く機会があります。動作や目の前の状況を手がかりに、英語の意味を考える経験につながります。
体操:基本的な動きを経験する活動
体操を取り入れている園では、体の使い方や基本的な動きを経験する活動として実施されています。
ジャンプやバランスを取る動き、マットを使った活動などを年齢や発達段階に合わせて経験することで、さまざまな体の動かし方に触れることができます。
実施内容や頻度は園によって異なります。前転や側転などの技を取り入れている場合は、対象年齢や安全への配慮、どのように段階を踏んで行っているかも確認するとよいでしょう。
「Stretch your arms!」「Jump!」など、動きと英語表現を組み合わせた指示を取り入れる園もあります。先生の動作や周囲の状況を手がかりに、英語の意味を理解する経験ができます。
ダンス:身体表現と英語に触れる活動
ダンスは、音楽に合わせて体を動かし、身体表現を楽しめる活動です。
英語の歌に合わせて踊る場合は、音やリズムを楽しみながら、英語の音声や簡単なフレーズに繰り返し触れることができます。
見本をまねたり、音楽に合わせて自分なりに動いたりすることも、身体表現を楽しむ経験の一つです。
踊ることへの反応や参加方法は子どもによって異なります。全員に同じ参加方法を求めるのではなく、一人ひとりのペースを尊重しているかを見学時に確認しましょう。
ゲーム:ルール理解や状況に応じた判断を経験する活動
体を使ったゲームでは、ルールを聞き、状況を見ながら動きを選ぶ経験ができます。
「Simon Says(サイモン・セイズ)」のようなゲームでは、英語の指示と先生の動作、周囲の様子を手がかりにして体を動かします。英語を聞きながら行動する経験を、遊びの中で繰り返すことができます。
勝ち負けのある活動では、ルールを守ることや、勝敗に伴うさまざまな気持ちを経験する場面もあります。
保育者が子どもの気持ちを受け止め、相手への配慮や次の行動を一緒に考えることで、気持ちを整理する方法に触れる機会になります。
集団活動:友だちと協力する経験
リレーやグループで行う遊びなどの集団活動では、友だちと一緒に行動する場面があります。
仲間と動きを合わせたり役割を分担したりすることを通じて、協力することや相手の様子を見ることを経験できます。
英語環境の集団活動では、「Your turn!」「Nice try!」「Let’s do it together!」など、活動場面に応じた表現を耳にすることがあります。
友だちと活動をやり遂げた経験が、達成感や次の活動への意欲につながることもあります。
英語と運動を同時に経験できる園生活の例
一部のプリスクールでは、英語を使った外遊び・ダンス・ゲームなどを日常のプログラムに組み込んでいます。
英語を遊びや生活の中で使う方針の園では、教室内の英語活動だけでなく、外遊びや食事、移動など、さまざまな場面で英語に触れる機会が設けられている場合があります。
屋外アクティビティでの英語のやり取り
外遊びの時間に、英語を話す先生が子どもたちと一緒に園庭や公園で過ごす園があります。
たとえば、「What do you see?」「Can you catch it?」といった声かけがあれば、子どもは目の前の状況や先生の動作を手がかりにしながら英語を聞くことができます。
単語だけを覚えるのではなく、実際の出来事や動作と結びつけて英語に触れられることが、このような活動の特徴です。
ただし、英語をどの程度理解したり使ったりするようになるかには個人差があり、英語に触れる時間や内容、園での関わり方などによっても異なります。見学時には、先生が日中どのような場面で英語を使っているかを確認しましょう。
体を動かしながら英語表現に触れる
体操やダンス、ゲームの時間には、動作と英語表現がセットで使われることがあります。
先生が「Reach up high!」と言いながら手を伸ばせば、子どもは言葉だけでなく先生の動作も手がかりにして意味を考えることができます。
「I did it!」「That was fun!」など、活動中や活動後の出来事に合った英語を先生が使うことで、場面と言葉を結びつけて触れる機会も生まれます。
運動と英語を組み合わせている園を検討するときは、「英語の時間があるか」だけでなく、「一日を通じて、どの場面でどのように英語が使われているか」を具体的に確認することが大切です。
外遊び・運動の機会を確認するための園選びのポイント
プリスクールを選ぶときは、英語のカリキュラムだけでなく、体を動かす機会の内容や頻度も確認しましょう。
幼児期の身体活動は園内だけで考えるものではなく、家庭や地域での活動も含めた一日全体で考えることが大切です。
① 1日の時間割における運動時間を確認する
1日のスケジュールに外遊びや運動の時間があるかに加えて、「どのような活動を、どの程度行っているか」を確認しましょう。
自由遊びとして外へ出る園もあれば、体操やダンスなどを決まった時間に設けている園もあります。どちらがよいと一概に決めるのではなく、子どもがどのように体を動かせるのかを具体的に見ることが重要です。
見学時の確認項目:
- 外遊び・室内運動の内容と頻度
- 子どもが自由に動ける時間と一斉活動のバランス
- 雨天・猛暑日などの代替活動
- 休憩や水分補給の方法
「1日を通して、どのくらい体を動かす機会がありますか?」と尋ねると、園の日常的な活動内容を把握しやすくなります。
② 天候や季節に応じた活動環境を確認する
雨天時や暑さ・寒さが厳しい日に、活動内容をどのように変更しているかも確認しましょう。
室内で体を動かせる場所があるかだけでなく、実際にどのような代替活動を行っているかも確認すると、年間を通した運動機会をイメージしやすくなります。
暑い時期については、気温や暑さ指数、子どもの体調などをどのように確認し、屋外活動を変更・中止する判断をしているかを聞いてみるのも一つの方法です。
③ 安全管理体制と事故への対応を確認する
外遊びや運動には、転倒や衝突などのリスクがあります。子どもの主体的な遊びを尊重しながら、安全に活動できるよう、どのような見守りや安全管理を行っているか確認しましょう。
見学時の確認項目:
- 活動中の職員配置や見守り方法
- 活動場所・遊具の点検方法
- 園外活動時の人数確認・所在確認の方法
- けがや事故が発生した場合の連絡・対応方法
- 熱中症やアレルギーへの備え
「けがや事故が起きた場合はどのように対応しますか?」と具体的に質問することで、安全管理の方針や日頃の対応方法を確認できます。
なお、「プリスクール」という名称でも、施設の制度上の位置づけや運営形態はさまざまです。必要に応じて、幼稚園や認可外保育施設などの施設区分、自治体への届出状況、安全管理に関する情報もあわせて確認するとよいでしょう。
プリスクールの外遊び・運動を支える家庭でのサポート
園での体験を家庭で話題にしたり、日常生活の中で体を動かす機会をつくったりすることで、子どもが園で経験したことを振り返る機会をつくれます。
特別な運動プログラムを用意する必要はありません。子どもの様子や興味に合わせ、無理のない範囲で取り入れましょう。
園での体験を振り返る親子の会話
お迎えのときや夕食の場で、「今日はどんな遊びをしたの?」「誰と一緒に遊んだの?」と声をかけてみましょう。
子どもが話したいときに園での出来事を聞くことは、体験を振り返ったり、自分の気持ちを言葉で表したりする機会になります。
答えを急かさず、話したくない様子があれば無理に聞き出さないことも大切です。
「先生は英語で何て言っていたの?」などと尋ねてみると、園で聞いた英語を思い出すきっかけになる場合もあります。
週末にも無理のない範囲で体を動かす
週末に公園や自然の中で体を動かす時間を設けると、園とは異なる環境でさまざまな動きを経験できます。
砂遊び・追いかけっこ・ボール遊びなど、子ども自身が楽しめる遊びを無理のない範囲で取り入れましょう。
園で聞いた英語表現を子どもが使ったときには、親子で一緒に使ってみるのも一つの楽しみ方です。正確さを求めすぎず、英語を使うこと自体を楽しめる雰囲気を大切にしましょう。
忙しい日には、まとまった運動時間にこだわる必要はありません。少し歩く時間を増やす、公園に立ち寄るなど、日常生活の中で体を動かす機会を取り入れる方法もあります。
まとめ|英語と外遊び・運動の両方を確認してプリスクールを選ぼう
外遊びや運動は、幼児期にさまざまな体の動きを経験するだけでなく、友だちとの関わりや挑戦、気持ちの切り替えなどを経験できる場でもあります。
英語を使う活動と組み合わせている園では、体を動かしながら英語を聞き、目の前の状況や動作と結びつけて言葉に触れる機会があります。
プリスクールを選ぶときは、英語カリキュラムだけで判断せず、外遊びや運動の頻度・活動内容・安全管理・子どもの様子なども確認しましょう。
園を検討するときは、次の3つを確認すると比較しやすくなります。
- 気になる園のウェブサイトで1日のスケジュールと運動・英語活動の方針を確認する
- 実際に見学し、外遊びや運動の内容、安全管理について質問する
- 先生の関わり方と子どもの様子を見て、わが子が無理なく過ごせそうな環境かを考える
ウェブサイトの情報だけでなく、実際の活動の様子や先生との対話も、家庭の希望や子どもとの相性を考えるための大切な判断材料になります。

