インターナショナルスクールで日本語が遅れる?原因と家庭でできる対策

英語教育

3〜5歳のお子さんのインターナショナルスクール入園を検討する際、「英語中心の環境に入ると、日本語が遅れるのではないか」と心配になる保護者の方もいるでしょう。

複数の言語に触れること自体が、言葉の遅れや言語障害の原因になるわけではありません。ただし、子どもがそれぞれの言語に触れる時間や場面によって、日本語と英語の語彙、会話、読み書きの伸び方に違いが表れることはあります。

この記事では、インターナショナルスクールに通う子どもの日本語について、考えられる影響、入園前に確認したいこと、家庭で取り入れやすいサポート、小学校入学に向けた準備を解説します。

インターナショナルスクールに通うと日本語が遅れるのか

インターナショナルスクールに通うことで、日本語が必ず遅れるとは限りません。

子どもの言語発達は、学校で使われる言語だけでなく、家庭での会話、読書や遊びの経験、周囲の人との交流、本人の興味など、さまざまな要素から影響を受けます。

園では英語を多く使い、家庭や地域では日本語を使う子どももいます。その場合、一つの言語だけで語彙を確認すると、同年代の一言語話者より少なく見えることがあります。一方、英語と日本語の両方で知っている言葉を合わせて考えると、年齢に応じた言語経験を積んでいることもあります。

そのため、日本語だけの語彙数や英語だけの語彙数を比べて、すぐに「言葉が遅れている」と判断しないことが大切です。

日本語教育の内容はスクールによって異なる

インターナショナルスクールには、全国共通の日本語カリキュラムがあるわけではありません。日本語の授業の有無、時間数、学ぶ内容、クラス分けは学校によって異なります。

国際バカロレアなど、多言語教育や母語を大切にする方針を掲げる教育プログラムもありますが、具体的な授業内容は各スクールの言語方針や在籍する子どもの状況によって変わります。

日本語クラスの名称だけで判断しない

スクールによっては、次のような名称で日本語のクラスを設けています。

  • Japanese Language and Literature:日本語で文章を読み、書き、表現する力を学ぶクラス
  • Japanese as an Additional Language:日本語を追加言語として学ぶ子ども向けのクラス

ただし、これらはすべてのスクールに共通する名称や分類ではありません。同じ名称でも、対象年齢や授業内容が異なる場合があります。

入園前に確認したい日本語教育のポイント

入園を検討するときは、次の点をスクールに確認しておくと、入園後の日本語環境をイメージしやすくなります。

  • 日本語の授業があるか
  • 週に何回、何分程度行われるか
  • 会話、読み聞かせ、文字、作文のうち何を扱うか
  • 日本語を家庭で使う子どもと、追加言語として学ぶ子どもでクラスが分かれているか
  • 日本語の成長をどのように確認し、保護者へ共有するか
  • 日本の小学校へ進学する子どもへのサポートがあるか

「日本語クラスあり」という案内だけで判断せず、実際の授業内容や時間数まで確認することが大切です。

二言語環境における子どもの言葉の見方

複数の言語に触れること自体は言葉の遅れの原因ではない

幼児期から日本語と英語の両方に触れても、それだけを理由に言葉の発達が遅れるとは限りません。二つの言語を混ぜて話したり、相手や場所によって使う言語が変わったりすることも、複数言語を学ぶ過程で見られることがあります。

一方で、英語と日本語に触れる量が同じとは限らないため、両方の言語が同じ速さ、同じ語彙数で伸びるとは限りません。園では英語、家庭では日本語というように、使う場面に応じて得意な内容が分かれることもあります。

認知面の効果を過度に期待しない

複数の言語を使う子どもについて、注意の切り替えなどに違いが見られた研究もありますが、研究結果は一様ではありません。

バイリンガル環境にすれば、認知能力が必ず高まる、学力が上がる、脳の発達に必ず良い影響があると断定することはできません。英語と日本語を学ぶ目的は、能力の優劣だけでなく、家族との会話、学び、文化とのつながりなども含めて考えることが大切です。

日本語と英語の両方を含めて様子を見る

言葉の発達を確認するときは、どちらか一方の言語だけでなく、次のような点を全体的に見てみましょう。

  • 日本語と英語を合わせると、使える言葉が増えているか
  • 身近な人の話や簡単な指示を理解できているか
  • 言葉、表情、指さしなどを使って気持ちを伝えようとしているか
  • 会話のやりとりを楽しんでいるか
  • 以前より伝えられる内容が増えているか

日本語と英語の両方で理解や表出が気になる場合、聞こえに心配がある場合、以前できていたことができなくなった場合などは、二言語環境だけが原因と決めつけず、小児科や自治体の保健センター、発達相談、言語聴覚士などへの相談を検討してください。

インターナショナルスクールで日本語の課題を感じやすい場面

英語を使う時間が長い場合、日本語に触れる場面が限られ、一部の力を伸ばす機会が少なくなることがあります。ただし、どのような課題が表れるかには個人差があります。

日本語の読み書きに触れる時間が少ない

英語中心のスクールでは、日本語の文字を使う活動が少ない場合があります。そのため、ひらがなやカタカナへの興味が表れる時期や、読み書きに慣れる速さが、周囲の子どもと異なることがあります。

幼児期は、文字を一律に覚えさせることよりも、名前、看板、絵本、手紙などを通して、文字が生活の中で役立つことに気づける環境をつくることが大切です。

生活する場面によって語彙が分かれる

園で使う遊びや活動に関する言葉は英語で覚え、家庭で使う食事や入浴に関する言葉は日本語で覚えるなど、言語ごとに知っている内容が分かれることがあります。

日本語の言葉がすぐに出てこなくても、英語では理解している場合があります。必要に応じて「英語ではこう言うね。日本語ではこう言うよ」と自然に言い換え、両方の表現を知る機会をつくりましょう。

気持ちや出来事を日本語で説明する経験が少ない

園での出来事を英語で経験していると、日本語で説明するときに言葉が見つかりにくいことがあります。

そのようなときは、答えを急がせず、「楽しかった?」「びっくりした?」「誰と遊んだ?」など、選びやすい言葉を添えて会話を支える方法があります。

家庭で日本語を支えるときの基本的な考え方

保護者が自然に使える言語で豊かに話す

家庭では、保護者が気持ちや考えを自然に伝えられる言語を大切にしましょう。英語を伸ばすために、保護者が十分に使い慣れていない英語だけで話しかける必要はありません。

家族の状況によっては、家庭では主に日本語を使う方法、保護者ごとに使う言語を分ける方法、場面に応じて使い分ける方法などがあります。すべての家庭に共通する一つの正解があるわけではありません。

日常会話で言葉を広げる

特別な教材を用意しなくても、食事、着替え、買い物、入浴などの日常生活は、日本語に触れる機会になります。

  • 「今日は何をして遊んだの?」と出来事を聞く
  • 「うれしかった?悔しかった?」と気持ちを表す言葉を添える
  • 子どもの発言に言葉を少し足して返す
  • 目の前の物の色、形、数、動きについて話す

間違いを毎回訂正するよりも、子どもの伝えたい内容を受け止めたうえで、自然な表現に言い換えて返すと会話を続けやすくなります。

日本語の絵本を一緒に楽しむ

絵本の読み聞かせは、日常会話とは異なる言葉や表現に触れる機会になります。毎日必ず決まった時間を確保する必要はなく、親子が無理なく楽しめる範囲で続けることが大切です。

読み終わったあとに質問を重ねすぎると、子どもが負担に感じることもあります。「どこが好きだった?」「この子はどんな気持ちかな?」など、会話が広がりそうなときに短く問いかけてみましょう。

文字は遊びや生活の中で取り入れる

幼児期の文字との関わりでは、正しく書く練習だけを優先するのではなく、子どもの興味を生かすことが大切です。

  • 自分や家族の名前を一緒に見る
  • 買い物中に看板や商品名を読む
  • 絵に短い言葉を添える
  • 誕生日カードや簡単な手紙を書く
  • 文字カードやしりとりで遊ぶ

年齢だけで「まだ読めない」「書けない」と判断せず、子どもの興味や手指の発達に合わせて取り入れましょう。

日本語教室などの外部サポートを検討する目安

家庭だけで日本語を支えなければならないわけではありません。必要に応じて、スクール内の日本語クラス、民間の日本語教室、地域の学習支援、オンラインレッスンなどを利用する方法があります。

利用する年齢に一律の基準はありません。次のような場合は、外部のサポートが必要かを検討してみましょう。

  • 日本の小学校への進学を予定しているが、日本語を使う機会が少ない
  • 家庭では会話できるものの、読み書きに触れる機会がほとんどない
  • 保護者が日本語の学習方法に不安を感じている
  • 子ども本人が日本語の本や文字に興味を示している
  • 進学予定校から具体的な準備事項を案内されている

教室を選ぶときは、年齢だけでクラスを決めるのではなく、日本語を使ってきた経験、会話と読み書きの状態、本人の負担感などを確認してもらうと安心です。

日本の小学校への入学前に確認したい日本語力

ひらがなをすべて読めることは全国共通の入学条件ではない

日本の小学校では、第1学年の国語で平仮名や片仮名の読み書きを学びます。そのため、入学前にひらがな46文字をすべて読めたり、正しく書けたりすることが、全国共通の入学条件として定められているわけではありません。

幼児期は、文字を覚えている数だけでなく、話を聞く、人に伝える、分からないことを尋ねる、絵本や物語を楽しむといった経験も大切です。

ただし、私立小学校や個別の学校では、入学前の準備について独自の案内がある場合があります。進学先が決まっている場合は、学校説明会や事前相談で確認してください。

授業や集団生活に関わる日本語も確認する

日本の小学校への進学を予定している場合は、文字だけでなく、次のような日本語のやりとりにも目を向けましょう。

  • 短い説明や指示を聞く
  • 分からないときに質問する
  • 自分の名前や気持ちを伝える
  • 友達との会話に参加する
  • 順番や約束について理解する

すべてを入学前に完璧にできる必要はありません。本人が困りそうな場面がある場合は、入学予定校に言語環境や必要な配慮を伝え、利用できる支援について相談しておくことが大切です。

学校見学や地域での交流を活用する

英語中心の環境から日本語中心の小学校へ進むと、言葉だけでなく、一日の流れや集団生活の方法にも違いを感じることがあります。

可能であれば、次のような準備を取り入れてみましょう。

  • 入学予定校の説明会や学校見学に参加する
  • 地域の公園や習い事で日本語を使う機会をつくる
  • 学校生活を扱った日本語の絵本を読む
  • 困ったときに使える言葉を一緒に考える
  • 担任や学校へ家庭で使う言語を伝える

環境の変化を不安だけで捉えず、子どもの気持ちを確認しながら少しずつ準備することが大切です。

まとめ|日本語と英語の伸び方を比べすぎず環境を整えよう

インターナショナルスクールに通うことで、日本語が必ず遅れるわけではありません。複数の言語に触れること自体も、言葉の遅れや言語障害の原因になるとは限りません。

ただし、学校で日本語を使う時間が少ない場合は、会話、語彙、読み書きなど、日本語に触れる機会が限られることがあります。入園前に日本語授業の内容や時間数を確認し、家庭では会話、絵本、遊びを通して無理なく日本語に触れられる環境をつくりましょう。

就学前にひらがなをすべて読めることは、全国共通の小学校入学条件ではありません。文字の習得だけを急がず、話を聞く、自分の気持ちを伝える、言葉のやりとりを楽しむといった経験も大切にしてください。

日本語と英語の両方で理解や表出が気になる場合は、二言語環境だけが原因と決めつけず、スクール、小児科、自治体の保健センター、発達相談などに相談し、お子さん全体の様子を確認することが大切です。

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